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「フハハハハハ!この正邪を捕まえようだなんて、愚かな考えだ!」 「さあ、次の追っ手はどんな手でくる?まぁ、絶対に捕まらないがな!」 ガササッ! 「む、来たな新たな追っ手!!何物だ名を名乗れ!」 「ゆっくりしていってね!!!」 「ゆっくりしていってねだと?フハハハハハ!我はあまのじゃく!貴様の言葉に従うか!」 シュシュシュ! 「どうだ!この俊敏な動き!」 「ゆっくりしていってね!!!」 「だが断る!」 シュシュシュシュシュ! 「ゆっくりしていってね!!!」 「誰がするかぁ!」 シュシュシュシュシュシュシュシュシュ! 「ゆっくりしていってね!!!」 「賛成の反対なのだぁ!」 シュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュ! 「ゆっくりしていってね!!!」 「うぉおおおおおおおおおおおおおお!」 シュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュ シュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュシュ! ビキッ 「グハッ…!」 「と、言う訳で、限界を超えて高速動作したせいで関節がおかしくなった アマノジャクさんを捕まえたよ!何かちょうだい小人さん!」 「あ、あがが…首が…足が…。」 「…正邪…アンタって人は……。」 名前 コメント
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気がつくと、ゆっくりなるものが庭先に鎮座(?)していた。 (*1 れいむ種。) 幻想郷の実在人妖をぶきっちょにしたようなこいつは、近年発生した新種の妖怪の類との事。 お菓子をあげると、すんなりと懐いてきた。 ちょうど生態が知りたいと思っていた所なので、部屋に上げて1日の観察記録をつけることとする。 「ゆっくりしていってね!」 『ゆっくり観察記』 第123季 葉月の一六 子の刻 ゆっくりは寝ている。まぁ時間的に言って当然の話。 私もそろそろ寝ることとする。 (*2 夜更かしは体に悪い。) 丑の刻 寝ている。 (*3 多分。) 寅の刻 寝ている。 (*4 多分。) 卯の刻 起床する。私がである。 ゆっくりはまだ寝ている。 (*5 朝は遅いのだろうか。) 辰の刻 起こされる。私がである。 どうやら二度寝してしまったらしい。 まだ眠いが、布団を取られてしまったので渋々起き上がる事とする。 (*6 春眠暁を覚えずというが、どの季節も眠いものは眠い。) 朝餉を戴いて部屋に戻るが、ゆっくりはまだ寝ていた。 私を起こす際、母が結構騒がしくしたはずなのだが。 とりあえず放置。 残っている仕事をちこまかと片付ける。 巳の刻 ゆっくりはまだ寝ている。 少しゆっくりしすぎではないだろうか。 (*7 これでは、殆ど私自身の日記も同然である。) もう少し近寄って観察する。 「ゅ~、ゅ~」 よく見ると、少し涎が垂れている。 もしかしたら寝床にした座布団がふかふかで気持ち良いのかもしれない。 野生にはこれ程ふかふかしたものは無いだろう。 ほっぺたをつっついてみるが、目を覚ます様子は無い。 これはあまりに無防備ではないだろうか……。 ちなみにほっぺたはかなりもちもちしていた。 これは結構病み付きになりそうである。 (*8 自制。) 試しに座布団をどかしてみたが、相変わらず間抜け面で寝ていた。 午の刻 「……ゆ? ゆっくりしていってね!」 ようやく起床する。 (*9 ゆっくりがである。) (*10 しかし、第一声がそれか。) 私はその時、ほっぺたをつっつくのにも飽きたので自分の仕事に戻っていたのだが、 こいつが近寄ってきて 「ゆっくりしていってね! ゆっくりしていってね!」 と、しきりに叫んでうるさい。 しぶしぶ自分がゆっくりしている事を伝えてやると、やっと大人しくなった。 他人がゆっくりできないと落ち着かない性分なのだろうか。 てっきり、自分がゆっくりできれば満足するのかと思っていたが、 そういうものでも無いのかも知れない。 (*11 しかし、そんなに私がゆっくりしていないように見えたのだろうか。) 昼餉を頂いてから戻ると、座布団の上に鎮座していた。 (*12 やはり座布団が気に入ったのだろうか。) 未の刻 原っぱに散歩に出かける。 ゆっくりの食生活を知るためである。 (*13 家にいてもゆっくりしっぱなしだったため。) ( もしかしたら、ご飯抜きでも数日くらいは大丈夫なのかもしれない。) すると早速ゆっくりは、餌となるバッタへとゆっくり近づいていく。 「そろーり、そろーり、」 しかしその擬音は口にする必要があるのだろうか。何とも間抜けな光景である。 そう思っていたが、バッタはあっさりと食べられてしまっていた。 (*14 何とも間抜けなバッタである。) 「むーしゃ、むーしゃ、しあわせー♪」 何だかこう、ムズムズする食餌の取り方である。 よくもまぁ、バッタひとつでこうまで幸せそうな顔ができるものだ。 いやまてよ。 もしかしたらああやれば、バッタなんて結構簡単に取れるのかもしれない。 そう思って 「そろーり、そろーり、」 私もそこらにいたバッタを捕まえようと試みるが、一匹も捕まえることはできなかった。 ゆっくりにできて私にできなかったので、少しへこんだ。 この屈辱を忘れることは無いだろう。 (*15 能力なので。) まぁ、ゆっくりは何かしらの能力を使っているのかもしれない。 そう思うことにしておく。 ゆっくりは虫以外には草花も食べるようだ。 適当に草をむしって渡したら、またむーしゃむーしゃし始めた。 適当に枝をひろって渡したら、それもまたむーしゃむーしゃし始めた。 適当に石をひろって渡したら、それもまたむーしゃむーしゃし始めるのだろうか。 興味はあるが、歯が欠けてもかわいそうなのでやめた。 (*16 逆にむーしゃむーしゃされても怖い。) 半刻ほど経つ頃、べつのゆっくりが飛び出してきた。 (*17 まりさ種。) うちのゆっくりとは違うふてぶてしさの顔だ。 2匹は 「ゆっくり!」 「ゆっくり!」 と仲よさそうに言い合っている。 (*19 ゆっくり語はわからないので、そう見えているに過ぎないが。) しばらく観察していると、2匹は微妙な間隔をあけて並び始めた。 (*19 漫才コンビの如きベストポジション。2匹はもともと相方なのかも知れない。) そして、やおらこちらに向き直ると、せーので同時に飛び跳ねた。 「「ゆっくりしていってね!!!」」 白黒っぽい方のゆっくりは満足そうに去っていった。 何がしたかったのだろうか。 なぜ紅白っぽいゆっくりも、どこかやり遂げた顔になっているのだろうか。 謎だ。 (*20 確かに1匹の時より迫力はあったが。) 申の刻 家に帰る。 ゆっくりは相変わらず座布団の上でゆっくりしている。 試しに畳の上に置いてみるが、変わらずゆっくりしている。 ちょっと意地悪して文鎮をゆっくりの下に置いてみるが、相変わらずゆっくりしている。 しかし、これが母に見つかり、筆記用具を床に置くな、生き物(?)の下に敷くなとしかられた。 (*21 理不尽。) 説教から戻ってみると、相変わらず座布団の上でゆっくりしていた。 特記事項。 部屋にあげる前に足(?)を拭こうとひっくり返したが、ゆっくりは汚れていなかった。 さんざん草の上を這いずり回っていた筈だが。 汚れがつかない体質か? もしかして、微妙に浮いているのか? 見た限りではそんな様子は無いが。 興味は尽きない。 酉の刻 夕餉を戴く。 ゆっくりも連れて行く。 人間の食事を食べさせるとどうなるか知るためである。 案の定、人の食べ物なら何でも食べた。 芋。ご飯。佃煮。お豆腐。味噌汁も飲む。 どこまで食べるのかは知りたい所であるが、 もともと小食な私に用意されるご飯は少ない。 今度、家人に言ってゆっくりの分を作らせようか。 (*22 ちなみに、わさびの葉っぱも食べた。) ( こころなしか「しあわせー」の時の涙の量が多かった気もするが。) 部屋に戻ると、ゆっくりはうつらうつらし始めた。 そろそろ寝る時間なのか。 まぁ、昼行性なのだろうから、それも然りなのかも知れない。 (*23 それにしては、朝が遅い気はする。) すっかりゆっくりの居場所となった座布団の上に乗せてやる。 さて、明日はどんな事をしようか…… ジジジジジ―――― 蝉の声が聞こえる。 夏も折り返す。 私の一生は、余人に比べると蝉のように儚いものだ。 そして、その間為すべき事は生まれる前から決まっている。 自然と毎日が忙しなく過ぎていく。 そのこと自体に、不満はない。 ただ…… 「ゆっくりしていってね!」 唐突にゆっくりが鳴いた。 ゆっくりを見る。 短い人生、偶にはこいつのように無為にゆっくりと過ごす日があっても、 それはそれでいいのではないか。 為すべき事があり、 愛すべき世界があり、 そして時にはゆっくりする。 ああ、なんて素敵な人生―― 「……はい、私はとてもゆっくりしていますよ」 そう、ゆっくりに話しかける。 ゆっくりは、やはりどこか満足そうな顔をしていた。 戌の刻 漸くゆっくりが就寝する。 寝るのはいいが、座布団に涎は垂らさないで欲しい。 (*24 実はお気に入り。) そっと涎を拭いてやる。 いつも舎人が進捗状況を聞きに来る時間だったが、 今日は何故か入り口のところで帰っていったようだった。 亥の刻 就寝。 私がである。 「……ゅ~……ゆっくりしていってね……」 そんな寝言を聞きながら、床につく。 おやすみなさい、ゆっくり。 ・ ・ ・ 以上が、ゆっくりを1日観察した記録である。 読んでいただければ、非常にゆっくりとした生態であることが分かるだろう。 “ゆっくりしていってね” この不思議な言葉を発する何者かは、ともすれば忙しなくなりがちな私たちに対する、世界からの警告なのかもしれない。 とまれ、彼らは実に無害でお気楽な生き物(?)である。 幸いにというか、ゆっくりは人に構われるのを好むため、いじり相手にぴったりである。 (*25 つっついても楽しいし、枕代わりにも丁度良い。) 私ももう少し、この新しい隣人を観察していく事にしよう。 それでは貴方も、幻想郷で素敵なゆっくりライフを。 ……なんてね。 『癒作狸観察記』 九代目稗田阿礼乙女 稗田阿求 記ス imageプラグインエラー ご指定のURLはサポートしていません。png, jpg, gif などの画像URLを指定してください。 ================================================================================================ 08夏コミで購入したゆっくり合同が面白かったので、 ゆっくりの生態がこんなでもありかな、と思ったifです。 ちなみにあきゅん合同は買えませんでしたとさ。 -- うりとぅん ばい "むの人" こういう視点で見るのもいいなぁ。野生ゆっくりの生活も観察してみたひ。ゆっくり合同も何とか買えたです。 -- 名無しさん (2008-08-22 00 42 14) 最近は、こういう、「ゆっくり!」しか言わないゆっくりになぜか惹かれる……。 -- YT (2008-10-21 17 42 50) そろーり、そろーりに萌えたw -- 名無しさん (2009-08-17 03 16 33) 改めて見るとやっぱり完成度高いわぁ 阿求可愛いしゆっくりも可愛いしで、完璧です。 -- 名無しさん (2009-08-18 01 15 25) 可愛くて最高。観察記っぽさがたまらない。 -- 名無しさん (2010-05-03 11 42 22) 画像貼り付けテスト。(むのひと) -- 名無しさん (2011-06-04 22 24 52) うおお、挿絵すげー!あっきゅんに仄かなエロスw -- 名無しさん (2011-06-05 01 09 18) 可愛い! 可愛いよコレ! -- 名無しさん (2011-06-05 01 26 40) あっきゅんアヘ顔に見えるんだがww -- 名無しさん (2012-02-28 00 05 48) 魔理沙と霊夢はお決まりのパターンだわ、うん! -- 名無しさん (2012-04-23 22 28 34) ヒャッハー! って、なにそれ日本語? -- 名無しさん (2012-08-13 17 52 56) 名前 コメント
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A 「ゆっくり! ゆっくり! ゆっくり~!」 「はいはいうるさいわね。今忙しいんだから離れなさいよ。今日の宴会は地下の奴らまで来るんだから、たくさん酒がいる分早く用意しないといけないのよ」 博麗神社にて、博麗霊夢が自らの顔を模してリボンを付けた生首に飛び掛られ、 うざったそうに眉を顰めている。 その生首の名はゆっくりと呼ばれている、幻想郷に突如出現した謎の物体だ。 ゆっくりは涙目で霊夢に飛び掛り続ける。 「ゆっくりしていってよ~!」 「ゆっくりできないっての」 霊夢は胸の辺りまで飛び跳ねてくる涙目のゆっくりを手で払い、 これまで行なってきた宴会の準備の作業を再開する。 「霊夢~、酒の用意は万全だぜ~」 「おつまみの準備もできたわよ」 霊夢の友人である魔理沙とアリスが声をかけながら近寄ってくる。 二人の背後には霊夢と霊夢のゆっくりの関係のように、 魔理沙とアリスの二人に対し、それぞれの特徴を持ったゆっくりがそれぞれ一匹ずつ飛び跳ねている。 「霊夢のところのゆっくりって本当に甘えん坊ね」 「そうなのよ……。こいつときたら私が忙しいことを知ってるのにこうして擦り寄ってきて……うざったいったらありゃしない」 霊夢は若干苛立ちを交えながら吐き捨てる。 「私のとこのもかまって欲しがりだが、霊夢のところはとびっきりだな」 「あれ? どうかしたのゆっくり」 「なんだ? ゆっくり同士で話し合いでもするのか?」 魔理沙とアリスのゆっくりがぽんぽんと跳ね、霊夢のゆっくりに近寄る。 霊夢のゆっくりに対して説得を試みているのだろうか。 少女達が若干期待しながら成り行きを見守る。 「ゆっくり! ゆっくり! ゆゆう!」 「ゆっくり~! ゆゆゆ!」 「ゆゆっくり!」 「 「 ゆ~! 」 」 けれど、二匹が声をかけたにもかかわらず、霊夢のゆっくりは尚更霊夢に引っ付く。 魔理沙が「駄目だこりゃ」と頭を抱えた。 「私の言ってることがわからないのかしら……まったく」 「ゆっくりの方だって私達の言葉を喋れないんだから、私達の言葉なんてわからないのかもな」 「とはいっても……私が忙しいことぐらい見てわからないの? ……まったく、何を考えていることか知ってみたいものだわ」 「う~ん、『腹減った! 仕事してないで飯よこせ!』だとか、『もっと私を優しく扱え! かまえ!』みたいな感じなのかな? それにしてはちょっと様子がおかしいけどな」 「ま、後でさとりにでも聞いてみることにするわ」 霊夢は淡白な様子で答えた。 今日は地下の妖怪達も来る。彼女達はゆっくり達とは初の顔合わせになる。 そのときに心を読む程度の能力を持つさとりに聞けばいいだろうと考えた。 「ゆっくりしていって――」 「ほら、邪魔よ」 ばしっと、霊夢は飛び掛る自らのゆっくりを手で払いのけ、おつまみを乗せたお盆を持っていった。 ◇ 幻想郷に突如出現した動く生首、ゆっくり。 ゆっくり達は幻想郷の有名人達の顔を模して潰した生首のような姿をいるが、 それ以外の生態は謎に包まれており、どこから来たのか全くの不明で、 「ゆっくりしていってね!」と鳴くことから「ゆっくり」と名づけられたこと以外は誰もわからない。 けれど、そんな謎の存在ゆっくり達にもある一つの共通点があった。 それはその顔のモデルになった人間や妖怪、果ては妖精にひどく懐くということだ。 モデルとなった少女達は自らの姿を模した謎の生き物が擦り寄ってきてどう扱えばわからず、 とりあえず放置する者、仲良くなって共に暮らす者、非常食としてとっておく者と様々だった。 そして先ほどの霊夢のゆっくり。 霊夢の神社の庭にある日いきなり出没し、まるで親に出会った迷子のごとく霊夢にひたすら懐いた。 霊夢は退治するべきか放っておくべきか迷ったが、特に悪さをするわけでもないので放置することにした。 そして今では霊夢とゆっくりが奇妙な同棲生活を行なうこととなったのである。 ◇ 「乾杯!」 「「「かんぱ~い!」」」 今夜の宴会は非常に賑やかなことになった。 博麗神社の庭では人間、妖怪、妖精、鬼、天人、神、様々な種族が入り乱れて、 派手に豪快に呑めや歌えやの大騒ぎ。 これまで特に交流がなかった面々も酒の力で互いの距離感が近くなり、飲み比べでその度量を認め合っていった。 そして宴会が進むに連れて、次第に気が合う者同士でいくつかのグループに分かれていく。 酒に強く騒ぎ立てる者達、お喋りに興じる者達、少し距離を置いて自分のペースで飲む者達。 皆が皆、自由に酒と場の雰囲気を楽しんでいる。 そんな中、ある一角が周りの目を引いた。 「ゆっくり!」 「ゆっゆっ! ゆっく、ゆっくり!」 「あ~う~」 「きゃなこ~ん」 ゆっくりである。 ゆっくり達が庭の端の方に陣取って、集まり、酒宴に興じている。 ゆっくり達はころころ、ぽてぽてとその丸い体を転がし、 飛び跳ねながら、口しかないのに器用に酒を注ぎ、呑み、つまみを食す。 そんな生首たちの酒宴の様子を、幻想郷の少女達は伺っていた 「あいつらって、ゆっくり達って本当に何者なんでしょうね?」 妖夢が周囲に聞かせるように呟いた。 「特に何かをしでかすわけでもないですし、それどころか私の場合何故か仕事を手伝ってもらったこともあるんですが」 彼女はゆっくり妖夢に自らの庭師の仕事を手伝ってもらっているので感謝の気持ちもあるのだが、 妖夢自身はゆっくり妖夢の事を何も知らない。 「ゆっくりねぇ……新種の妖怪って感じでもないわね。あんな感じで私達の姿に似せているのは一種の擬態かしら? ……まぁ似てないし、何者かわからないけど、放っておいても無害だし別に大丈夫じゃない?」 パチュリーが「どうでもいいし」と付け加え、興味なさげに冷めた表情で妖夢の質問に答える。 ゆっくりパチュリーは図書館の本を読むだけで、特に何もしてこなかった。 いてもいなくても関係がないのなら、毛玉のようなどうでもいい存在だ。 「私のところのゆっくりは何だか年中ゲラゲラ笑ってうるさいから迷惑なのよね~。もう少しおとなしくして欲しいんだけど」 うどんげが唇を尖らせながら不満げに呟く。 魔理沙はニヤリと悪そうに笑いながらうどんげの方を向いた。 「そんなに邪魔なら兎鍋にすればいいじゃないか。うどんげのゆっくりだから兎みたいだし。何なら今から捌くか?」 「共食いみたいなんで勘弁して……。私の姿を真似ているものが食べられていい気はしないし」 「そうか、それはありがたい。うどんげがゆっくりの代わりに酒の肴に捌かれてくれるなんて」 「何でそうなるのよ!」 うどんげがばんと床を叩いて突っ込む。 「だけどゆっくり達って本当に賑やかね。う~う~鳴いてて、私達には何喋ってるかわからないけど」 「何を話してるのかな?」 腕を組んで考え込むレミリアと首を傾げるフランドール。 彼女達の言葉に反応して、魔理沙がぽんと手を叩いて注目を集める。 「そういえばさっき霊夢と同じ話をしたんだよ。『ゆっくりって何を話しているのかな』って」 「へ~、やっぱり『お腹すいたよ、ごはんちょうだい』とか、『あそんで~』とかかな?」 「いや、言葉が通じないことをいいことに命令形で話しているのかもしれないわ。『飯』『風呂』『寝る』」 段々と皆が魔理沙の話に注目を集めていく。 『ゆっくり達はどのようなことを話しているのか』 それが宴会に参加している者達の興味の中心となった。 普段は「犬や猫が何を話しているかどうでもいいようなものだろ」と興味なさげに言うような者達でさえも、こっそりと耳を傾けている。 何故ならゆっくりは自分達の姿を真似ているのである。 自らに関係がありそうなことなら多少の興味はあるというものだ。 ◇ 「すいません遅れました。それと灼熱地獄跡地での炉の仕事が滞っていて、お燐とお空は残業で来れません。こいしも今日はちょっと連絡が付かなくて――」 「お、さとりじゃんか――そうだ! おまえいいところに来たな!」 魔理沙はやってきたさとりの顔を見るなり、何かを企むような顔で擦り寄って手をとる。 突然手を握られたさとりは何事かときょとんとしながら魔理沙の目を見る。 「な~さとり~、おまえ『ゆっくり』って知ってるか~」 「『ゆっくり』……ですか。地上で最近話題になっている、幻想郷の少女を模した饅頭顔の生首のことですね。私はまだ見たことはありませんが、それがどうかしました?」 「実はちょっと頼みがあるんだけどさ~」 「『さとりにゆっくりの考えていることを読んでもらおう』ですか。貴方、私の事を通訳か何かと勘違いしていませんか? ……してますね」 さとりがその座った目をより細めてジト目となり、呆れながら言う。 「いいじゃないかよ~。減るもんじゃないし~。お願いさとりちゃ~ん」 「馴れ馴れしいです。それに酒臭い。酔っ払いは突拍子もないことを考えるから苦手です」 「だったらなんでこんな場所来てんだよ~。ホントは誘われて嬉しいんだろ~。うりうり~」 「想起『二日酔いの朝』」 「ぎゃあああああああああああ!! 酔いで空が落ちてくるぅぅぅぅ!!」 トラウマを蘇らせた魔理沙が頭をぶんぶん振りながら痛みにうなされる。 調子に乗った結果馬鹿を見た小娘の醜態に、周りからゲラゲラと笑い声が上がった。 「でも私も興味あるわね。悪いけど貴方、ゆっくり達の通訳お願いしてもいいかしら?」 「ね~、貴方心を読めるんでしょ~。だったらやってみて~」 そんな衆人達を掻き分けてきたレミリアと、彼女に手を引かれたフランがさとりに対してお願いする。 普段だったら恐怖の対象であるさとりの読心も、酔っ払いの席では誰も気にしない。 思ったことがすぐ口から出るためだ。 とはいえ、さとりは気軽に能力を行使するように頼まれて若干気が引けてしまう。 能力によって疎まれた過去を持つ彼女は、その扱いに関しては誰よりも慎重だ。 「え~と……貴方達、もしゆっくりの心の中が仮に「ご飯よこせ~。この召使いめ~」みたいな感じで貴方達に対して過度に偉そうだったりしたらどうするんです?」 「 「 今夜のおつまみにする 」 」 即答だった。周りを見れば他の少女達もうんうんと頷いている。 さとりが心を読む間も無かった。 素面の状態でもゆっくり料理をやりかねない彼女達。 酔っ払って自制心が効かなくなった今では、何か失礼があったらゆっくり達はおつまみの刑は免れないだろう。 「……やっぱり駄目です。動物は喋れない分欲求に正直ですから、あまり夢や幻想はもたないであげてくださいね」 さとりはそう言い残すと彼女達から離れた。 不満げな声が挙がったが、ここで捕まったら面倒なことになる。 こういった場合は別のグループに入るのが一番だ。 さとりはキョロキョロと周りを見渡しながら、その場を離れた。 ◇ 「いいところに来たじゃないの、さとり。相変わらず遅れてくるわね」 さとりが辺りをうろうろとしていると、縁側で座っている博麗霊夢に声をかけられた。 反応して霊夢の顔を見ると、頬がほんのりと赤く上気している。酒によるものであろう。 けれども何か気がかりなことがあったのか、いつもよりも酔いのまわりが悪いように見える。 「こんばんは、霊夢さん。色々あって遅れてすいません」 「別にそれぐらいで謝らなくていいわよ。ところでアンタって意外と宴会好きよね~」 「まぁ、それなりには」 さとりはしれっと答えたが、実際にはそれなりどころではない。 さとりは実のところ、宴会が大好きである。先ほど魔理沙に言われたことは図星であった。 さとりは心を読む程度の能力が他人に嫌われるとあって、基本的に表に出たがらないが、 宴会にはよく参加する。 酔っ払い同士なら頭の中が空っぽであり、なおかつ考えるよりも先に口が働く。 皆が心を読まれることを気にするような状態ではないため、さとりのことを疎まない。 そのためにさとりだって楽しめる。酒は潤滑油なのだ。 「ところで【いいところに来た】とはどういう意味です?」 「あのさ、【ゆっくり】って何者か、話には聞いてる?」 「えぇ、一応は。最近幻想郷に突如出現した動く生首のことですよね。そのゆっくりがどうかしました?」 霊夢が背後を振り向きつつ指を示す。すると霊夢の姿を模した生首が蕩けるような顔をして、 「ゆ~♪ ゆ~♪」と声を出しながら、霊夢の背中にすりよっている。 どうやらあれが動く生首ことゆっくりなのだろうと、さとりは推測する。 「こいつが、ゆっくりが何を言いたがっているのか教えて」 「どういうことです?」 「ゆっくりは【ゆっくりしていってね!】に関することしかいえないから、わけがわかんないの。それに私のゆっくりときたら、何でかしらないけど暇さえあったら私に引っ付いてくるのよ」 「へぇ……それはそれは」 「それだけならまだいいけど、よりにもよって宴会の準備で忙しい時にくっついて来てうざったかったの。私がいくら言っても聞かないし……」 霊夢はうんざりとした顔で言う。 さとりは霊夢から事情を聞いた。 ゆっくりは突如博麗神社の庭に現れたこと。霊夢に対して親のように懐くこと。 霊夢が邪険にしてもかまわず向かってくること。 そしてつい先ほども宴会の準備があったのに引っ付いてきてきたこと。 「はぁ、そんなことがあったんですか」 「だから、さとりのその読心でゆっくりが何考えてるのか教えて。何であんなことをしたのか知りたいし、な~んか妙な気分なのよね~。私の勘が騒ぐっていうか」 さとりは一瞬「失敗した」と思った。 面倒ごとから逃げて来たのに、逃げた先で更に面倒なことに巻き込まれてしまった。 またどうにか理由をつけてこの場を後にしようかとも思った。 だが―― 「ゆ~♪ ゆっくりぃ~♪」 さとりはゆっくりの心の中の、霊夢に対する好意を感じた。 どうやらあの生き物には言葉が通じないがゆえに、その溢れんばかりの好意が上手く伝えられないようだ。 それを霊夢は上手く受け取ることが出来ていないのだろう。何だか微笑ましい。 さとりは何となく、少しくらいだったら想いを伝える手伝いをしてあげてもいいと思った。 「わかりました。やってみます」 言うが早く、さとりはゆっくり霊夢の顔を覗き込む。 それに反応して、ようやくゆっくりはさとりに気付き、上目遣いで見つめる。 「こんばんは」 「ゆっくりしていってね!」 「………………」 さとりの動きがピタリと止まり、辺りの空気が凍る。 「あれ? さとりどうかしたの?」 「いえ、何でもありません。軽いかるちゃーしょっくとでもいいましょうか……」 さとりは頭を振って気を取り直して再度ゆっくりに近寄り、声をかける。 「私の名前は古明地さとりっていうの。私は貴方の言葉がわかるわ」 「ゆ~! ゆっくり! ゆぅ~!」 「ねぇ、貴方はどうして霊夢――自分の主人にそこまでかまってもらいたいの? さっきだって宴会の準備の邪魔をしたって聞いたけど、それは本当なの?」 「ゆっくり! ゆぅぅ~! ゆっくり!」 「ふむふむ――」 さとりはゆっくりと会話をする。 どうやらゆっくりは人語を話せないが、人語を理解することは出来るようだ。 さとりは読心の能力を持つため、本来はゆっくりは声を出す必要がないのだが、 ゆっくりは思ったことがすぐ口に出る性質があるのか、声を出して喋ってくる。 それをさとりは聞き続けた。 「――なるほど、よくわかったわ」 「ゆっ!」 さとりが得心を得た。くるりと霊夢の方を向く。 「で、何だって?」 「え~とはい、何でもこの子は、霊夢さんのお手伝いをしたかったそうです」 「お手伝い?」 「そうです。お手伝いです。普段お世話になっている霊夢さんのお手伝いをしたかったのだけど、何をすればいいのかわからなかったそうです」 擦り寄ったり甘えることによって邪魔ばかりしていたと思っていたゆっくり。 そのゆっくりの真意が手伝いをしようとしていたなどとは、意外な答えに霊夢が驚く。 「霊夢さん、一ついいですか?」 「何よ」 「霊夢さんはその子に好かれているのはわかりますか?」 「う~ん、ゆっくりときたら暇さえあれば甘えてくるからそんな気はしてたけど……けど、私はこいつに対して特に可愛がってやったりとかしてないわよ。なんでこんなに好かれるのかさっぱり」 「そうですね、例えるなら霊夢さんのことを好いている方達、紫さんや魔理沙さんなどに対して、霊夢さんは特別可愛がったりしていますか?」 「いいえ。まったく。それどころかよく弾幕ごっこでドツく」 「それだけですか?」 「まぁ……その後よく一緒にお酒を飲むけどね」 「それと同じですよ。霊夢さんのさっぱりとした人柄にみんなが集まるんです。この子は『霊夢大好き! 霊夢と一緒にいたい!』という気持ちが溢れかえっています。裏表のない霊夢さんが大好きだそうです」 「でも、今日は邪魔してきたと思ってぞんざいにあつかったし、嫌われてもおかしくないんじゃないの?」 霊夢が反論するかのように答える。 「ゆっくり~ゆっくり~」 「霊夢さんがそういった人だということはわかっているそうです。だから大丈夫だと。そういったところを含めて好きだそうです。それに忙しくなくなったら、ゆっくりが甘えてきたときにされるがままにしてたそうじゃないですか」 「え~と、それはあれよ。酒の席でつまらないことでイライラするのも嫌じゃない。だからちょっとくらいならいいかなと思っただけよ。ホントに邪魔だったらどかすわ」 霊夢がばつの悪そうな顔をしてそっぽを向く。 「ゆっゆっゆっくり」 「宴会の準備の邪魔をしてしまったことについてはこの子も申し訳なく思っています。忙しいところにかえって邪魔をしてしまったと、反省をしているようです」 「そうなの?」 「ゆ~ゆ~」 霊夢がゆっくりの方をちらりと見る。その目には若干の戸惑いがあった。 霊夢は基本的に人妖に好かれるさっぱりとした気質を持つが、 あまりこういった類の、子が親に向けるような愛情を受けたことはない。 どういった反応をすればいいのか戸惑うその様子は博麗の巫女というよりも、 一人の少女のそれであった。 「霊夢さん」 「な……なによ」 「霊夢さん、そんなに肩肘を張らなくても大丈夫ですよ。この子は自然体の霊夢さんが好きなようですから。それに私個人としては子供や小動物に優しい霊夢さんっていうのは気持ちが悪いです。霊夢さんって子供の飴玉とか奪いそうですし」 「おい」 「確かに熱心に好かれると、時にはうざったくなってしまったり、どうしても手が離せなくなってかまえなくときがあるのはしょうがないでしょう」 「無視すんな」 「ですが――」 さとりの突如真剣味を増した声に霊夢が気圧される。 普段のさとりは基本的に根暗だ。 けれどペットや、言葉の喋れない存在に関わるとこのような真摯な性格になる。 だてに地霊殿の主はやっていない。 「ですが自分を好いてくれる相手には、どうか無下に扱うようなことはしないであげてください。嫌われるのは簡単ですが、好かれるようになるのは難しいです」 さとりがふっと、自嘲するようなため息を吐きながら言った。 「まぁ、私は霊夢さんなら大丈夫だと思いますけどね。その姿を見ていると」 さとりは縁側に座る霊夢と、その隣に並びながら霊夢に寄りかかるゆっくりを見る。 ゆっくりの顔はとても幸せそうだった。 愛する母に抱きつく子供のような安心感を醸し出す至福の表情だ。 こんな顔をすることが出来るような者は滅多にいない。 なんだかんだいって普段霊夢がゆっくりにたいして世話を焼いていることが伺える。 「え~と、これはその、あれよ。あんまり駄々をこねてて五月蝿かったから、こうすれば黙るからこうしただけよ」 「はいはい。わかりました」 さとりはにこやかに笑いながら霊夢に言った。 霊夢はさとりのそんな姿を見て、自らの頭をわしゃわしゃと掻き毟る。 「あ~もう、この話はもうおしまい!」 そう言うと霊夢は自らのゆっくりを膝の上に乗せた。 上に乗ったゆっくりは即座に目を輝かせ、口元がわぁっと開き、幸せ一杯の顔をする。 「ゆっくりしていってね♪」 「……まったくしょうがないわね。こういうことはたまにしかやってあげないから、あんまり忙しいときに引っ付いてくるんじゃないわよ」 「ふふふ……」 「それとさとり、アンタもさっさと酒飲みなさい! 宴会で素面が真面目なこというんじゃないわよ!」 「はいはい。わかりました」 悪態をつきながらゆっくり霊夢を膝の上に乗せる霊夢。彼女の心の中は妙なこそばゆさで一杯だった。 さとりはその微笑ましさに思わず頬が緩んでしまった。 ◇ 「ところで貴方、最後にひとつ聞いてもいい?」 さとりがこれで時分の役目は終わったと思いその場を離れる前、 ゆっくりに対して感じた素朴な疑問があった。最後にそれを聞いていこうと彼女は考えた。 「ゆ?」 「貴方達って何で幻想郷の女の子の姿をしているの?」 「ゆっくり――」 ◇ ザッザッザッと、さとりは霊夢とそのゆっくりから足早に離れた。 ゆっくり達が幻想郷の少女達の姿をしている理由。 それ自体はある意味わかりやすく微笑ましい理由だったが、 決してモデルとなった少女達には口外できないものであった。 霊夢に対しては上手くぼやかしてきたが、このままだとボロを出しかねない。 今日は日が悪い。さとりは一刻も早く帰ろうとする。 けれど―― 「すげ~!! ねぇねぇ、あたいのゆっくりがどんなこと考えてるか教えてよ~」 「私のゆっくりは! 私のゆっくりは!」 「な、何ですか貴方達!?」 気が付けばさとりの周りには観衆が集まっている。 一度は撒いたのに、愚かなことにも再度捕まってしまった。 先ほどのさとりによる一連の光景は中々変わった見世物だったため、皆の興味を引いた。 そのために少女たちは離れたところから見学していたのだ。 そしてさとりの手腕に感心した少女たちは、今度は自分の番だと引っ付いてきたというわけである。 「どうせだからさとりにみんなのゆっくりが何考えてるか教えてもらおうよ~!」 「いいね~!」 「もう決定だね~!」 「そ~なのか~そ~だよね~そうするっきゃないね~」 「私のゆっくりだから、きっとさぞかしカリスマ溢れた台詞を言ってるのでしょうね」 「えと……あの……ちょっと待って……」 皆が勝手に話を進めている。徒党を組んだ酔っ払いは手が付けられない。 彼女達は期待の篭った視線をさとりに向けた。さとりは思わず気圧される。 場の雰囲気に完全に飲まれていた。 「ち……ちょっと席を外しま――」 どうするべきか、逃げるべきかとさとりが迷い、 取り敢えず先ほどと同じように逃げようとその場から背を向けた瞬間、 何者かに肩の辺りをガシッと捕まれた。 「今度は空気嫁よ」 「ひぃっ!」 気配もなく近寄ってきた衣玖が能面のような笑顔でさとりに呟いた。 ギリギリと、衣玖の指がさとりの肉付きの薄い肩に食い込み、 さとりの顔が青ざめる。 「頑張ってさとりちゃ~ん!」 「いけいけ~!」 「さとり~! 愛してるよ~! ちゅっちゅさせて~!」 前門の衣玖、後門の酔っ払い。 いや、周りを囲まれた今となっては四面楚歌。 さとりに選択権はなかった。断れば何をされるかわからない。 「わかりました! わかりましたよ! 行って来ます!」 こうなったらどうしようもない。上手く誤魔化すしかない。 さとりは普段あまり出さない大声を上げると、ゆっくり達が集まる場所に向かった。 とてとてと歩いてゆっくり達の集まりに近寄る。 するとゆっくり達は皆何者かに対して首を傾げる。 「みんな、こんばんは」 さとりはゆっくり達に向かって声をかける。 けれどもその音量は小さく、雰囲気も暗い。 外の世界の歌のお姉さんとはかけ離れている。 「ゆっくりしていってね!」「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」「ゆっくりしていってね!」 「ゆっくりしていってね!」「ゆっくりしていってね!」 ゆっくり達は対称的に元気よく、 歌のお姉さんに向かう子供達のような天真爛漫な姿でさとりに挨拶を返す。 どうやらさとりは歓迎されているようだ。 ゆっくり達はさとりに対し、どうかここでゆっくりしていって欲しいと言っているのかもしれない。 はやし立てた少女達はそう考えながらワクワクしながらその光景を見守った。 「え~とね、今日はみんなに聞きたいことがあって来たの。突然だけど、皆は主人のこと好き?」 「ゆっくり~」 「ゆゆ~」 「むきゅ~」 「ゲラゲラゲラ」 即答である。 ゆっくり達は目をキラキラと輝かせ、我先にと大声で主張する。 「えっと……どんなところが好きなの?」 「ゆっくり!」 「ゆゆ~」 「ウサウサ」 「わかるよ~」 「よいぞっ!」 「じゃお~ん」 「あたいったらゆっくりね!」 「あ~う~」 「ちんちん」 さとりは一気呵成にまくし立てて来るゆっくり達に対していくつか相槌を打ち、 それぞれの話を聞きいれた。 「え~そうなんだ――うんうん――へぇ――わかったわ。それじゃあ、私はこれで失礼するわね」 するとさっと少女達の方に戻ってきた。 「皆さんすごく好かれていますよ」 さとりは一拍間を置いて、にこやかに笑いながら言った。 「あれでわかるとはすごいな……」 「どんな感じ?」 「私のゆっくりは何だって?」 「百聞は一見にしかずです。ちょっと待って下さい」 さとりはゆっくり達の方を向くと、少女達に存分に甘えるように呼びかけた。 ゆっくり達は散らばって、それぞれのモデルとなった者のところに近寄っていく。 ぴょこぴょこ、ぽよんぽよん、ぱたぱた。 皆の表情は太陽のように輝いている。 「これが答えです。この子達が何者であってもいいじゃないですか。可愛がってあげてください」 さとりはいい笑顔だ。 「私のゆっくり、いつも庭師の仕事を手伝ってくれてありがとう」 「みょ~ん!」 「ちょっと、う~う~言うのやめなさいっていってるでしょ!」 「う~♪ う~♪」 「えへへ、くすぐったいよぅ」 「ゆっくりしね♪」 抱き合う妖夢とゆっくり、レミリアとほっぺプニプニの柔らかさ比べをするゆっくり、フランにちゅっちゅするゆっくり。 それらを初めとして、少女達が自らに擦り寄るマスコットのような物体と仲良く触れ合っていた。 「それでは私はこれで。今日は少し早めに帰らせてもらいます」 さとりはそんな美しき光景に背を向けて、神社の外に向かってスタスタと歩いて行った。 「え~、さとりってばまだ全然酔っ払ってないじゃん。ゆっくりしていけよ~」 「それは……いえ、何でもありません。少し身体の調子が悪いので」 「きっと酔っ払いの頭の中を見て酔っ払ったんだ~」 「キャーこのスケベ~!」 「え……えぇと、はいそういうことです」 さとりはばつが悪そうにしながらも帰ろうとする意思は変えないようだ。 ふとさとりが霊夢と膝枕されるゆっくりをちらりと見た。 ◇ さとりは無言のまま博麗神社を後にする。 今日は家に帰ったら早くお風呂に入ってお燐とお空を撫でて寝よう。なでなでふにふにしよう。 そんなことを考えながら早く帰ろうとすると、目の前には三つの影が現れた。 「うにゅ~」 「おりんりんらんどはっじまっるよ~」 「こいこがれるようなゆっくりがしたい!」 ゆっくりだ。それも三匹。 お空、お燐、こいしの姿をしたゆっくり達だ。 ぽよんぽよんと飛び跳ね、さとりの方に向かってくる。 さとりはさっと身を翻して別の方向に向かって走る。 走って走って、その場から離れようと―― ぽむっ。 何かがさとりの胸の辺りにぶつかって来た。 柔らかい。 さとりは思わずそれを受け止め、抱きかかえてしまう。 ………… ………… ………… さとりが恐るおそる視線を下に向けると、 薄紫色のショートヘア。 ジト目。 ハート型のカシューチャ。 そう―― さとりの姿をしたゆっくりが! 「さっとりしていってね!」 ゆっくりの想いB
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『ゆっくりの戯れ』 ここは人知れぬ森の奥。もう直ぐ冬を間近にしていたが、そんな事は関係なかった。 「「ゆっくりしていってね!!!」」 ゆっくりしていってね!!!略称ゆっくり。ハッキリ言って人智の及ばぬ者達である。 顔だけの彼女?達が今日も何時もどおりに左まりさ、右れいむのポジションでお決まりを叫ぶと 「ゆっくりしていってね!!!」 何だろうか?れいむだけがセリフを言うと、すすっとまりさに近付いて耳際で内緒話を始めた様だった。 「ゆっくり!!していってね!!!」 話を終えてれいむが少し離れると、まりさは相も変わらず眉を曲げて挑発的な何時もの表情のままだが 頬を染めて期待に満ちた楽しげな様子を見せている。 だが、れいむの方の様子はもっとすごい・・・いや、人智及ばぬとはいえ理解しがたい状況だった。 「ゆっ!!くり!!」 なんということだろうか、腕が、生えた。 丸い饅頭のような(実際饅頭だが)れいむの顔(身体?)の両横から筋肉質な人間の腕が、生えた。 そして、何をするのかと思えばその腕でまりさに掴みかかって 「そぉい!!!」 放り投げた。しかも、投げられたまりさは何だかわくわくとした表情のまま 「すごい!おそらをとんで・・・ゆべっ!!!」 ・・・。木にぶつかってしまった。もしかしたられいむはこれを狙っていたのかもしれない。 ゆん!!と息巻いて下顎を突き出すようにして満足げにしている。良く見ればれいむから腕はもう消えていた。 「・・・ゆっくりしていってね!!!」 額を赤くしたまりさは起き上がった後、一瞬涙目になってから何事も無かったようにれいむの左に戻る。 今度はれいむを投げる番なんだろうか。まりさがれいむの方を向くと今度は まりさから筋肉質な人間の足が生えてきた。同じく腕が生えてくると思いきや、もはや何でも有りである。 「ゆっ!!!っくり!!!して!!!いってね!!!」 やっぱりさっきの事が気に入らなかったのだろう。表情は何時ものままだが、こめかみ部分に青筋が出ている。 そのうえ思いっきり振りかぶり、さらにものすごい溜めが入ってから凄まじい勢いで蹴り上げた。 「すごい!おそらをとんでるみたい!!!」 ・・・。が、れいむの方は木にぶつかる前にくるっと連続宙返り。見事に着地を決め 「ゆっくりしていってね!!!」 と僅かな時間の空中遊泳をご満悦。表情も何時もより眉が立ち強気に見える。 後ろで足をしまって元の大福餅に戻ったまりさは一瞬、忌々しげに口をゆがめ睨んでいたが、直ぐに元の表情に戻って 「「ゆっくりしていってね!!!」」 とれいむと一緒に同時に飛び跳ねて空中で身体をぶつけ合い、決め言葉を言うとそのまま一緒に何処かへ行ってしまった。 おそらく、人智及ばぬゆっくりしていってね!!!達はこれから雪が積もろうと、世界が滅びようと、 平然と何時もの強気な表情のまま、自由気ままにゆっくりと自分達のしたいようゆっくりしていくのだろう。 即興の人 怖すぎるwww -- 名無しさん (2008-11-10 19 09 30) むしろフリーダムすぎるwww -- 別の名無しさん (2008-11-24 15 36 51) テラシュールwww -- 名無しさん (2011-08-27 20 11 10) まりさ・・・ 強く生きるんだ・・・ -- 名無しさん (2012-08-19 20 11 19) 名前 コメント
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新・アリス×ゆっくり魔理沙4の続きです。 アリスの寝室から出た一人と一匹は、とりあえず座って休める部屋を探すことにした。いつもは勝手に中を歩き回る魔理沙だが、いざ落ち着ける部屋を探すとなると微妙に迷ってしまう。 「うーん、客間でいいか。茶と菓子もあるし」 客間には魔理沙が以前(無断で)置いて行ったマイ急須がある。それで入れたお茶と洋菓子を嗜むのが魔理沙の秘かな楽しみである。他人の家であることは最早気にしてはいけない。 「魔理沙、魔理沙」 胸に抱えたゆっくり魔理沙が話しかける。 「ん、どうした」 「入口のかぎしめてよう。まりさじゃとどかないの」 「あ、そうか」 百八十度進行方向を変え、入口に向かう。歩きながら魔理沙は考える。 (最初に入口近くにいたのは鍵を閉めようとしていたんだな。で、私が来たから咄嗟に隠れた、と) 「うーむ」 「?」 「お前、私みたいな頭しておきながら臆病で真面目なんだな」 「??」 「ん、えーとな、要するにだな……もっと私みたいに大胆不敵でいてもいいんじゃないか、ということだ」 「魔理沙みたいになれってこと?」 「うん、まあそうだ。私は霊夢ほどじゃないが、人妖問わずモテる。アリスだって私のことが何だかんだ言って好きだからな。私みたいになれば、もっとアリスも可愛がってくれるぞ」 「うそつきー!」 「な、どこがだよ」 「おねえさんは魔理沙のこと好きじゃないよ。いっつもまりさに文句ばっかり言ってるもん」 「いっつも?」 「口を開くたびに言ってるよ!」 「迸る愛を受けて胸が張り裂けそうだ」 「???」 魔理沙はゆっくり魔理沙とは奇妙なほどに話が進む。話し相手にちょうどいいので魔理沙は自分の家で飼いたいと思ったこともある。しかし何かことが起きるたびに家を出て飛び回る自分には無理だな、とも同時に考えていた。アリスに飼わせておいて、たまに顔を出して話す。そのぐらいで充分だ。そう考えるようになった。 「……」 魔理沙が歩を止める。 「どうしたの?」 半分空いた扉、正確にはその先の空間を魔理沙は見詰める。 「……誰だ?」 「何だ、魔理沙か。どこのこそ泥かと思ったわ。……いや、あながち間違いじゃないか」 「その声は……永琳?」 魔理沙が一歩下がると、半開きの扉が開かれた。 「当たり。それにしても、鍵ぐらい閉めなさいよ」 ゆっくり魔理沙が頭上に盆を載せて客間を這う。盆の上には湯気の出た湯のみと羊羹が乗った小皿二切れ。邪魔な帽子は部屋の隅に脱いで置いてある。 「あついから気をつけてのんでね!!!」 「はいはい、どうも」 永琳は盆上のバランスを崩さないように、『魔理沙』と書かれた湯のみと小皿を真ん中に寄せながらそっともう一つの湯のみを取り、次いで小皿を取った。 今度はまりさはテーブルの向かい側を目指して這う。 「あついから気をつけてのんでね!!!」 「ごくろうさん」 お茶を入れ、羊羹を切ったのは魔理沙だ。テーブルに運ぼうとしたところ、脱帽したまりさが待ち構えていた。運びたいようなのでやらせてあげたところ、器用に溢さず運んで見せた。手足が使えない分こういったところには長けているのだろうか。 「ふう。玉露はやっぱり落ち着くわ」 「高いんだぞ。味わって飲めよ。そして振る舞った私に感謝するんだ」 魔理沙は安い茶で済ませようとしたのだが、永琳に「その玉露、飲みたいわ」と指定され、しぶしぶ淹れたのだ。 「んで。どうしてアリスの家に来たんだ?」 「私と彼女は仲睦まじかったかしら?」 「知るかよ。月の一件から文通でも始めたのか?」 お盆を仕舞ったまりさが魔理沙の隣の椅子にぴょこんと飛び乗った。 「むつまじいってなに?」 永琳がふふ、と小さくほほ笑む。 「とっても仲が良いってことよ。……まあ実際、彼女とは親交が深いわけではないわ。友情、愛情で訪ねたんじゃない。だとしたら残りは?」 「……仕事?」 「正解。薬の処方に来たのよ」 「薬師自ら出向いてくるなんて、ずいぶんサービスがいいんだな」 まりさがさっきから魔理沙の羊羹をじっと見つめていたので、一切れ食べさせてあげた。 「うちは外来専門なんだけどね。お得意さんがぱったり来なくなっちゃったから、今回は特別よ」 「なるほどね。あー……」 頭に起こされて怒り狂うのアリスの姿が浮かび、魔理沙は顔を顰めた。 「でも、今はタイミングが悪いぞ」 まりさも真似をして顔を顰める。 「おねえさん、ねおきわるいの」 「だからこそ今来たのよ。とりあえずアリスのところに案内して頂戴」 「ねんがんの じりつにんぎょうを てにいれたぞ! ふふ~」 ベッドの上で目をつぶったまま少女がにやけている。向い側のドアが、静かに音を立てて開いた。 (起きると暴れるんだ、大声出すなよ) (わかったわ) 「わかったよ!!!」 「誰!!?」 アリスが飛び起きた。虚ろな目で、首を振って騒音の犯人を捜す。 (ば、馬鹿野郎! どうするんだ!) (ゆ、ゆっくりおちついてね! こんなときは……) 「し、しゃんはーい。ほ、ほらーい」 「……」 アリスの動きがぴたりと止まる。 「ろんどん、ろしあ、おる、おれ、おるれあーん」 「なんだ人形か」 アリスがベッドに倒れこむ。 (……) (……結果オーライね。深く考えたら負けよ、魔理沙) (……ああ) やっとのことでアリスの目の前に二人と一匹が辿り着く。数メートルの距離が実に長く感じられた。 永琳はアリスの顎にそっと手を当て、開いた口に錠剤を放りこんだ。 「ふう。これで一安心」 (お、おい起きるぞ) 「大丈夫よ。即効性の睡眠薬飲ませたから。数時間は眠りっぱなしよ」 「もうひそひそはなさなくていいの?」 「そうみたいだな。でもこの状態じゃ、肝心の薬の代金が受け取れないんじゃないか?」 「前払いで貰ってるのよ。数か月先の分までね」 「おねえさんおかねもち!」 「……? 話が見えないな」 「つまり、今みたいな寝たきりの状態になるってことを彼女は予想していたというわけ。これを見て」 永琳が一枚の紙を取り出し、魔理沙に渡す。肩に乗ったまりさも横から覗き見る。 「……なになに」 ゆっくり睡眠病 『人間又は妖怪の頭部に似た姿をした生物(生体、種の分類含めて詳細不明、以下『ゆっくり』と呼称する)が媒介する疾病のこと。ゆっくりとの接触により感染する。症状としては、気だるさや眠気を感じ、思考能力が減退する。この結果、肉体的疲労を感じていないにも関わらず、長時間の休憩を取るようになったり、悪化した場合眠り続けたりするようになる。日常生活を大きく阻害する病であるので、治療法の確立が急がれる。……(中略)……なお、通常の人妖はこの疾病に対する抗体を有しており、ゆっくりを飼った場合の実際の発病者は百人に一人と言われている。また、ゆっくりと人間または妖怪の容姿が非常に似ている場合、その人妖はほぼ確実にそのゆっくりに対する(他のゆっくりからは感染する可能性がある)抗体を持っており、発症例も未だ無い。』 「……アリスはこの病気だと?」 「ぜんぜんわかんないよ!」 「症状から見て、ほぼ確実にそうね。初めに具合が悪い、って私のところに来たときには、既にかなり症状が進行してたわ。彼女のことだから、自分で原因を究明して治そうとしたのかもね。最近発見された病気だから、特効薬と言えるものがなくてねえ。既存の薬をいくつか処方しておいたんだけど、やっぱり効かなかったみたいね」 「じゃあ、薬が見つかるまでアリスはずっと眠りっぱなし、ってことか」 「王子様のキスで目を覚ましてくれればいいんだけどねえ」 「しんでれら!」 「白雪姫だ。……えっと、ゆっくりを通じて伝染するなら、こいつがこのままアリスの傍にいちゃまずいんじゃないのか?」 「その通り。だから、貴女がしばらくその子を預かりなさい。アリスはうちで入院させるから」 「……え」 自分が、まりさの面倒を見る? まりさと共に食べ、共に眠る光景が魔理沙の頭をよぎる。 「貴女霊夢のところにもちょくちょく行ってるんでしょう? 霊夢もゆっくりを飼ってるけど、それでも貴女は感染してない。抗体持ってるのよ。そうじゃないとしても、自分と似た姿のゆっくりからの感染例はないから、安心しなさい」 「魔理沙のおうちにおでかけするの?」 「う、うん、まあ、そういうことなら仕方ないな。心の広い私がしばらくの間面倒を見よう」 「何にやけてるのよ、気持ち悪い」 「に、にやけてなんかないぜ。じゃ、じゃああとはよろしくな」 「おでかけ、おでかけー」 魔理沙は肩に乗っていたまりさを胸に抱えなおし、早々に寝室を後にした。 「……変なの」 「魔理沙、ちらかしたらおねえさんおこるよ」 「散らかしてるわけじゃないぞ。むしろすっきり綺麗になると思う。なんせ、この風呂敷の上に乗っている物は私が借りていくんだからな」 「どろぼー?」 「泥棒とは人聞きが悪い。永久に借りておくだけだぞ」 「わかった、じゃいあんだ!」 「……なんだそれは」 寝室に残された永琳。手には半透明の小袋を持っている。 「実は薬は完成していたのよね~。まだ誰にも飲ませたことがないんだけど」 「うぅ……あぅぅ……」 悪夢を見ているのか、はたまたこれからの危機を察したのか、アリスが小さくうめき声をあげた。 「フッ……奇跡か……そのぐらいの事(早苗さんでなくても)私にもできる!!」 小袋の封を切り、片手でアリスの口を開き、もう片方の手で粉末の薬を流し込む。 「この症状を治す薬はこれだ」 「う……ああ……お、おく、……し……神綺兄さん!!」 ,_,, -──- .... ___ .,...."´ i ̄! 。 `゙ ヽ / 〈 匸 二! 〉 `..、 〈 ゚ ! i,.'"´ `ヽ、 ;i ヽ,.'´ ̄` 7´ `ヽ ; i/ i i `ヽ / / i | i _L_ ヽ、 `ヽ / | i ' -ハ .ハ|´ ノ' ヽ ヽ、_ ! ! | レ__ヽ/__,.V、___ヽノ_゙l、 ヽ、_ ! / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ヽ! ! !‐゜‐';i ;;;;;`ー゜‐';;;;;||`' ーr' イ < ん? まちがったかな…… `,/ .ソ ノ! l レ^lノ/ / \_______. ,.! /イン゙i l .-i'ノ i. / Y´、ノ,.i {__,,,ゞ , ン /---──- 、. _ヽ;(_iノ/ ;゙i, ¨ニニ ̄ ,‐ ,,ン `ヽ. / 7イ,.ィ〉 ; ゙、 ''' _,‐' ゝ、‐', . <´ ハ / (ン! !/ ; ゙;,_ _,,/ . // 〉、 く(ン! ! 〒i . 〈. /r'"⌒ヽ 、 Y´、ノ ┼l . ... >、 l」/´ ̄ ̄ ̄ヘ / 続き→新・アリス×ゆっくり魔理沙6 次回は魔理沙のスーパーゆっくり愛でタイムだよ! 投下乙なんだぜ、今回はとてもよかった。小ネタが面白いし、まりさがそこらへんにいる子供みたいだ。かわいい -- 名無しさん (2008-09-19 19 53 43) アリスの生死やいかにwww -- 名無しさん (2008-09-19 22 35 53) ゆっくりがよつばのようだ。GJ -- 名無しさん (2008-09-20 11 44 37) アリス\(^o^)/ -- 名無しさん (2008-10-03 18 30 47) だめろ・・病気になりそう・・ゆっくりの幻影がみえてきたwww -- ゆっけの人 (2008-10-26 01 31 45) アミバ噴いた -- 名無しさん (2008-10-30 23 22 01) 「読んだ人間はゆっくり幻想郷に囚われる」 これが真のゆくっり症候群なのかー!?w -- 名無しさん (2008-12-09 02 26 11) こっちのシリーズは原作寄りなわけね。アリスとゆっくりまりさの関係はこっちの関係のほうが好きだな。 -- 名無しさん (2010-04-21 13 03 36) 『わかった、じゃいあんだ!』吹いたwwwww -- 名無しさん (2011-03-18 22 55 15) 名前 コメント
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■当wikiへのリンクの際はトップページ http //www8.atwiki.jp/yukkuri/ へ ゆっくりwikiバナー バナーはまだまだあります。こちらからご自由にお選び下さい ■各種リンク■ ■上海アリス幻樂団 東方Projectの総本山。 原作を知りたい人はここへ。 ■東方wiki 東方Projectの事がほとんど記載されている。 ただしキャラ紹介は二次設定なので注意。 ■2ch全AAイラスト化計画 たびたびゆっくりAAをイラスト化してくれている、まそ氏のサイト。 これまで、霊夢 魔理沙、レティ、きもんげ(裏)、天子、きめぇ丸(3種)、レミリア、パチュリー、星、ヨコハマ咲夜がイラスト化された。 また、サイトの800万HIT記念による36枚目のトップ絵では、ガ板のゆっくりを沢山集めたイラストが描かれた。 ■pixiv ゆっくりしていってね アカウント制のイラスト投稿サイト。 ゆっくりしていってね!!!関連のイラストが1000点以上投稿されている。 バナーをクリックすると「ゆっくりしていってね」タグの検索結果に移動する。 危険な絵も多いのでR-18Gタグ非表示は必須。 しかし以前からゆっくりを騙る贋物を投稿する悪質行為は横行しており、増加傾向にある近年ではGタグの有無にかかわらず引っかかり易くなった為深刻な問題となっている。 ■ ゆっくりしていってね!合同本 告知ページ コミックマーケット74にて販売された、ゆっくり関連(東方オンリー)の合同誌のページ。 ゆっくりを知ってる人ならお馴染みの絵師さんも参加しています。 ■夢防衛少女隊 このwikiにもリンクを貼ってくれている絵師、まか子氏のサイト。 blogにゆっくり達をかわいらしいイラストに起こして掲載している。 ※スレに画像だけ直リンさせるくらいならちゃんとここから入ろう。 ■さくらのりんご このwikiにもリンクを貼ってくれている絵師、さくら野氏のサイト。 れいむとまりさのwikiバナーはこの人と、鮫島さんという方の共作なんだ。 壁紙イラスト「みんなでゆっくり」はこのwikiを見ている人なら一度は見ておこう。 (「みんなでゆっくり」は歴代トップ絵にさくら野さんからいただいた縮小版があります。) ■ゆっくりしていってね 難民AA まとめWiki 色々な事情でここに留めておく事ができないゆっくりAAを隔離し、まとめているwiki。 ちょっとエッチな物からちょっとどころじゃない危険なAAまで保管しているぞ、子供は見ちゃダメだ!!! また下品なネタ、暴力的なネタの苦手な人は見ないように。 ■ゆっくりしていってね!!! 創作発表Wiki 創作発表板のゆっくり創作スレのまとめページ。SS、イラストが主なコンテンツ。 ゆっくり界隈では禁忌扱いされている設定が採用されている事も多い(特に初期の作品)ので注意。ジャンルマークを良く確認して読もう。 ■ガイドライン@2ch掲示板 通称ガ板と呼ばれる2chの掲示板の一つ。 ガ板ゆっくりスレはここのスレの一つ。 ゆっくりタイムは進行が早い… 気がする。 ■東方幻想板 東方Project板管理人の凛氏が管理人職から手を引く事を発表した事により、 新管理人の梟氏と愉快な仲間達により運営され始めた三代目東方板。 ガ板の影響は…どうだろう? 凛さん、本当にお疲れ様でした。 ■東方Project板 東方シリーズ板の過去ログが満タンになったため、 それに伴い移転した場所。 ここもガ板のノリには影響されない。 二代目東方板とでも呼んでおきましょうか。 ■東方シリーズ板(西方common板) 初代東方板ゆっくりスレはここのスレの一つ。 ガ板のノリに影響されず、静かにゆっくりタイムが過ぎていた。 ■デスクトップアイコン ゆっくりしていってね!! ゆっくり達のデスクトップアクセサリがダウンロードできる。 Adobe Airライブラリ が必須だが、リンク先でダウンロードできるので問題ない。 ビックリマークは二つが正しい。 ■東方AA纏メ処(ミラー) 個人の方が多くの東方関連のAAをまとめているサイト。 ここのAA達の「改変元」になっているAAもたくさん蒐集されている。 ■ゆっくりしていってね!!!のランダムアスキーアート ゆっくりしていってねのAAをランダムで表示するサイトだよ。
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5や7本編ではだいぶお世話になったけどCCFF7では何度殺されかけたか。 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 「ん?なんだこれ?ムー○ーの亜種か?」 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 「…まぁいいや」 ジャキーン! 【 Activating Combat Mode 】 「かかってこい!」 「「「ゆっくりしていってね!!!」」」 [ たたかう ] 「はっ!」ザシュ! →0 「マジか!それなら!」 [ エナジー ] ガガガッ! →0 0 0 「畜生!こうなったら…」 [ すてみパンチ ] ドスッ! →0 「何…だと…」 [ でるたあたっく!!! ] 「「「ふぃーばー!!!」」」バリバリバリバリ! →99999 「うわああああああああああああああ!!!」 残念ながらフェニックスの尾は使っていなかったようです。 名前 コメント
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幻想郷で最も大きな湖の畔に立つ紅魔館。 その内部、いかにも洋館と言った内装の廊下に二人の男がいた。 「ハリー、そろそろご執心の博麗の巫女が来る筈だろ?にしては騒ぎも何も起きてないじゃないか。」 「門番を突破するのは大変だからね。梃子摺ってるんじゃないの?」 「それなら良いんだけどな。窓の外見てみろよ。真っ青な快晴じゃないか。」 「おかしいな…データベースからこっちに移動させたときに何か変換ミスが起きたのかも。ちょっと調べてみる。コンピューター、アーチ」 ハリーと呼ばれた男の呼びかけに対し、どこからともなく応答音がする。 続いて、廊下の内装にはなんともミスマッチな物体が現れた。 彼はその物体に付いている様々なカラーで色分けされたパネルに手をやった。 「にしても、お前の趣味が時々分からなくなるよ。なんであんな少女を好きになるんだ?」 「そいつは言うなよトム。僕みたいなアジア人は君から見るとそう見える傾向があるんだ。…っと、よし。原因が分かった。」 「おっ、どこがダメだったんだ?」 「プログラムの中に破損データ紛れ込んでて、それで環境設定が読み出せなかったみたいだ。 このデータを削除するからちょっと待ってくれ。」 ハリーはそう言うとしゃがんでパネルの下のふたを取り外し、中身を弄り始めた。 そのとき、どこからともなく飛来した一本のナイフがトムと呼ばれた男の肩を掠め、『物体を貫通して』その向こうの壁に刺さった。 「貴方達、そこで何をやっているのかしら?」 声の方向をトムが見ると、そこにはある種のオーラを纏った少女が立っていた。 「ハリー!まずいぞ!メイド長に見つかったぞ!」 「そりゃーここは紅魔館だから咲夜さんに会ってもおかしくないよ。安全装置は入ってるんだからもう少し待ってくれよ。」 「それでもナイフが飛んできたら恐ろしいに決まってるだろ。」 「何をブツブツと…まあいいわ、どうやって進入したか答えてもらいましょうか?」 「あー、何て言うかな、その、通りすがりだ。俺はトム・パリス中尉。 連邦宇宙艦ヴォイジャーで操縦士をしてる。ヴォイジャーってのはイントレピッド級深宇宙調査船で、艦籍番号はNCC-746…」 言い終わらないうちにハリーが立つ。 「よし!直ったぞ。トム、お楽しみ中悪いけど一旦リセットするよ。コンピューター、プログラム停止!」 彼が言い終わると同時に、紅魔館も瀟洒なメイド長も消え、殺風景な空間が残った。 「おい!折角お近づきになるチャンスだったんだぞ!」 「いいじゃないか、トレス中尉に知れたら酷い事になるだろ?」 「ベラナは所詮ホログラムだって思ってる、大丈夫だって。」 「それならいいんだけど。 コンピューター、プログラム東方紅魔郷 第五章を初めから再生してくれ。」 短い応答音、続いて合成音声 『エラー、プログラム実行できません。消去できないホログラムが残っています。』 「おいおい、勘弁してくれよ。直したんじゃなかったのか?」 「どうも削除したはずのデータが実体化したみたいだ。一体何が…」 そう言ってハリーが左を見ると、そこには50センチほどの丸い物があった。 その謎の物体と目が合ってしまう。 「ゆっくりしていってね!」 「おにいさんはゆっくりできるの?ゆっくりしようね!」 「なんだよアレ…」 「さあ?」 そう言って顔を見合わせる2人だった。 [七万光年彼方でゆっくりしていってね!] “TAKE IT EASY!” ベッドが複数並んだ部屋で3人が深刻そうな顔で相談していた。 「二人が昨日持ってきた物体を調べてみたんだが、あれは完全に生命体だ。ただ…」 「ただ?」 「いわゆる生物の特徴が全く見つからない。こんな事は初めてだ。」 「ドクター、それじゃあ何であれが生命体だと?」 「それについては見てもらったほうが早い、こっちへ来てくれ」 ドクターと呼ばれた男についていくトムとハリー。 扉を1つ抜けて医療部長のオフィスへと入ると、この部屋の主であるドクターが彼らのほうを向いた。 「すまないが扉を閉めてロックを掛けてくれ。」 「ああ、いいけど理由は?」 ハリーが答え、扉を閉めて横のパネルを操作し簡易ロックを掛ける。 「じきに分かる。よし、閉めたな。」 ドクターが奥の扉を開けると同時に、そこから何かが走りこんできた。 「もう!とじこめるなんてひどいよ!ゆっくりあやまってね!」 「「あやまっちぇね!」」 現れたのは赤いリボンをつけた大小の物体だった。 「その小さいのは一体?まさか…」 「お察しの通り、君達から預かったあと生まれたんだよ。」 「じゃあ生命体だと判断したのはこれで?」 「まさに。自己増殖能力を持っている事は生物の条件の一つだ。」 やや得意げな顔で語るドクター。 それに対して2人はまだ納得のいかない顔だった。 「じゃあドクター、他の条件、例えばエネルギーの摂取は?」 「それも確認した。今見せよう。」 トムの質問に対し、ドクターはデスクから携帯食料を取り出して物体のほうへと投げた。 一番大きい物体に当たったあと、床に落ちる。 途端に奪い合いが始まった。 「いちばんにみつけたのはれいむだよ!みんなはあきらめてね!」 「おかあしゃんずるい!れいむもほしい!」 「わたしもたべる!はやくどいてね!」 「れいむのごはんをたべちゃだめだよ!さっさとしね!」 最初のうちは小競り合いだったのがあっという間に取っ組み合いになる。 結局食べることができたのは一番大きい物体だった。 「ぜんぜんたりないよ!あかちゃんにもっとよこしてね!」 「「よこしちぇね!」」 「このように食料を摂取し利用しているのは確実だ。」 物体が非難の声を上げるが無視して話を続ける3人。 「恒常性の維持は?」 「それも見たほうが早いだろう。フェイザーは持っているか?」 「今は持ってないよ、ドクターは?」 「医者に武器が要るか?」 当然だろうという空気が流れる。 「あまり不衛生にすべきではないが私がやろう」 「やるって何を?」 デスクの先ほどの携帯食料とは別の棚を無造作に開けるドクター。 そこに右手を突っ込んで取り出したのはいわゆるペンチをゴツくしたような器具だ。 「これは大昔に行われていた抜歯手術に用いる野蛮な道具でね、ここに物を強く挟む事ができる。」 器具の解説を指差しながら行い、次にそれを一番大きな物体へとあてがう。 そのまま器具で物体の表面を挟み、力を入れてつかんだ後一気に引き抜く! 「ゆ゛う゛ぅう゛ぅっ゛っ!」 「おか゛あし゛ゃんになにし゛ゅるのお゛おぉっ!!」 「ゆっくりできないひとははやくでてってね!!」 「このように身体の一部が破損しても必要な栄養素を摂取すると直ちに再生する。見たまえ。」 そう言って引き抜いた物を捨て、橙色の薬品を物体にかける。 すると、みるみるうちに傷口がふさがりあっという間に元通りになった。 「すごい!れいむもとどおりだよ!おじさんははやくでてってね!」 「「どっかいっちぇね!」」 「ま、一応生物ってのは認めるよ、ドクター。」 「少し引っかかるがまあいい。それよりも、君達はこれをどこで手に入れた?」 「ホロデッキで手に入れたんだ。僕がデータベースから見つけたプロ…」 ハリーが説明を仕掛けたところで急激な振動が三人を襲う。 照明が暗くなり赤警報が点灯。 『緊急事態発生、総員配置につけ。』 「悪い、ドクター。話は今度だ。」 「僕らはブリッジに行くから、それは頼んだよ。」 「任せてくれたまえ、次までに何か新しい発見ができると思う。」 そういって会話を終えた2人は医療室を出て行った。 あとに残されたドクターは物体をデスクの大きい引き出しに手早く放り込み、オフィスを出て急患に備え始めた。 赤く明滅するランプが灯った薄暗いブリッジ、そこで何人かの男女が壁のコンソールを操作していた。 部屋中央に位置する副長の座席で一人の男がアームレストのコンソールを操作している。 3回目の振動が船を襲ったとき、扉が開いて艦長が入ってきた。 「チャコティ副長、状況は?」 「亜空間フィールドが崩壊してワープから離脱したようです。原因は不明。現在インパルス・ドライブで推進中。」 「分かったわ。とにかくこの揺れを何とかしないとおちおちコーヒーも飲めやしない。 トム、補助スラスターを調節して揺れを抑えられないかしら?」 「やってみます。」 コンソールの前に座ったトムが鮮やかな動きでパネルにタッチすると、次第に振動が小さくなってきた。 「調整完了。成功です、艦長。」 「艦長、センサーが非常に微弱なバーテロン粒子を感知。ワープ停止の原因と考えられます。」 「トゥボック、メインスクリーンに映せるかしら?」 トゥボックと呼ばれた男が手元を操作すると、部屋正面のディスプレイに空間の亀裂のようなものが映し出された。 「亀裂の両端に布状の物体が確認できますが、センサーで質量探知されていません。」 「ハリー、つまりあの物体と亀裂は幻という事?」 「現状ではそうなります、艦長。」 「バーテロン粒子はあの亀裂が収縮するときに僅かに放射されている模様です。 インパルス・ドライブに影響は無いので迂回するのが得策かと。」 「あの亜空間断裂現象は実に興味深いわ、暫く留まって調べましょう。 ブリッジからセブン、あの断裂をそちらでモニターしてくれる?」 『既にモニター中だ艦長。現在分析している。』 ほぼ同時刻 医療室 ベッドに腰掛ける士官の首にドクターが器具をあてている。 空気が抜けるような音がした後、それを首から離した彼は患者に話しかけ始めた。 「簡単な痛み止めを打っておいたから暫くはここで休みたまえ。無理はよくない。」 「ドクター、こっちにも痛み止めを。」 「分かった、ちょっと待ってくれ。痛み止めを取ってくる。」 新たな患者の要請に答えた彼は薬品を取りにオフィスに入った。 大量に必要な薬品の筆頭である痛み止めは一番取りやすい位置に置いてある。 デスクの上のパッケージを手に取ったドクターはある事に気が付いた。 一番下の引き出し(大抵の机では一番大きい)がデスクから外れて転がっているのを。 中を覗いてみると赤黒いペーストがこびり付いているだけだった。 「ドクター、痛み止めを早く頼む!凄い苦しそうだ。」 「あ、ああ。すまない。今行く。」 ホログラムらしからぬ事に我に返ったドクターはパッケージを持ってオフィスを出て行った。 窓に映る星々が唯一の光源の空間、その闇の中でうごめく物体があった。 「ハァ…ハァ…うまい、う……ぎる…」 「…む…しゃ、……しゃ」 厨房のカウンターで蠢く物体はゆっくりれいむの親子だった。 突然訳の分からない場所につれて来られて以来のまともな食料にありつけた事で、一心不乱に食事中のようだ。 突然、食堂のドアが開いて誰か入ってきた。 「コンピューター、厨房のライトを点けてくれ。」 電子音がした後、カウンター内部のみ明るく照らされる。 入ってきたのはニーリックスだった。 食堂の閉店時間を利用して食材の仕込みにやってきたようだ。 鼻歌を歌いながらカウンターに近づいた彼はおかしなことに気が付く。 何かを齧り、咀嚼する様な音が聞こえる。 そっと中を見ると、大小の柔軟性に富んだ球体が明日の料理となるはずの食材を消滅させつつあった。 およそあらゆる知的生命体に対して人当たりが良いニーリックスだが、事に食堂を荒らされた時は流石に怒りを露にする。 料理人としてのプライドがそうさせるのだ。 「コラッ!それは食べちゃ駄目だよ!さあどいたどいた。」 「ゆ?おじしゃさんだれ?ここはれいむのおうちだよ!」 「これはれいむがみちゅけたんだよ!」 「ゆっくいできないんならあっちいっちぇね!」 「れいむのをわけてもいいからおとなしくしてね!」 ゆっくりれいむにしては珍しく寛大ともいえる態度を取る母親れいむだったが、勿論ニーリックスは「ゆっくり」などという生き物の生態は知らない。 彼にとってこの態度は挑発に等しい行為だった。 「君たち、ちょっと来てもらおうか…。」 そういって食材を荒らす害獣に近づくニーリックスだった。 艦内時間でのお昼時におけるニーリックスの食堂は、世に数多ある食事どころと同じような賑わいを見せる。 クルーが一人で、あるいは気心の知れた友人と食事を楽しんでいる光景が見られた。 その食堂の扉が静に開き、2人の男が会話しながら入ってきた。 トムとハリーだ。 「で、結局あのプログラムはどうするんだ?」 「データベースからやっとサルベージして起動できたんだ。僕は簡単には諦めないつもりだよ。」 「そいつは結構な事で。実際は霊夢にベタボレだからか?」 「トム、キャプテン・プロトンをプログラミングした君なら分かってくれると思ったんだけどな。」 「そりゃ、悪かった。」 肩をすくめるトム。 ハリーが先に着席するとニーリックスがそわそわした態度でテーブルへ来た。 注文をとりに来たにしては様子がおかしい。 そう思ったハリーは口を開こうとしたが、喋り始めたのはニーリックスだった。 「キム少尉、是非食べて感想を聞かせて欲しい物があるんすけどね。」 「新作の料理? なら試してみたいね。」 「ま、そんな所っす。 今持ってきます。」 ニーリックスが厨房に消えたあと、ハリーの向かいにトムが座った。 「わざわざハリー・キム少尉に相談するという事は、」 「僕の民族の料理かな?」 「お待たせしました少尉。中尉も、是非試してください。食べなれてる人とそうでない人の感想を聞かせてください。」 そう言って厨房から出てきたニーリックスが皿をテーブルに置く。 蓋を取ると中から湯気を上げる胡麻団子が出てきた。 「ハリー、こりゃ何て料理だ?」 「芝麻球って中華料理。中に餡子を入れてゴマをまぶして揚げる料理で、ママが時々作ってくれたよ。懐かしいな。それじゃ、いただきます。」 いつの間にか集まってきたクルーが注目する中で、ハリーが団子を齧った。 「どうですか、少尉?」 「餡子の甘さが絶妙だよ、最高だね。」 「そいつは良かった!ささ、皆さんも食べてください。」 一口サイズの胡麻団子が作っていた山があっという間に低くなっていく。 「ニーリックス、小豆なんて何処で手に入れたんだ?この味はレプリケータじゃ出せないよ。」 「あぁそれは、昨日食材を手に入れたんすよ。持ってきましょう。」 ハリーの問いかけに答えた料理人は厨房へと入っていく。 今度はすぐに出てきたが、手には妙な物体を持っている。 「はやくはなしてね!れいむのあかちゃんとあわせてね!」 昨日ドクターに預けたはずの物体が、タラクシア人の手の中にあった。 球体に近い体を縦に横に変形させ自由を求めてもがいているが成功の見込みはなさそうだった。 「昨日の話ですけどね。 食材の仕込をしようとあっしが厨房に入ったら、こいつらに食材が食われてたんすよ。」 「それがこの、ええと何て言ったっけ「芝麻球」そう、その芝麻球の材料と関係あるのか?」 「そりゃもう!大アリですよ。 ちょっと見ていてくださいよ。」 ニーリックスはカウンターからナイフを取り出し、次に小さな物体をカウンターに置く。 「れいむはゆっくいおうちかえりゅ!ここはゆっくいできないよ!」 物体が跳ねて逃げようとするが、断崖絶壁であることに気がついて急停止する。 ナイフを持ったニーリックスの右手が、左手で抑えられた物体にその白刃を押し付ける。 「ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛ゆ゛やめち゛ぇね!ゆっく゛いやめち゛ぇね!」 「れいむのこどもをかえしてね!」 ナイフがスッと切れ目を入れたかと思うと、次の瞬間にはカウンター表面にまで到達していた。 「れ゛いむのこ゛にな゛にす゛るの゛お゛お゛ぉ゛ぉ゛!!!」 声が聞こえなくなったことで我が子に何かあったと判断した母親れいむが叫び声を上げ、我が子を殺した憎い相手に体当たりし始める。 「ゆ゛っ!ゆ゛っ!ゆ゛っ! ゆ゛っく゛りて゛き゛ないおし゛さ゛んは゛は゛やく゛し゛んて゛ねぇ゛ぇ!!!」 「こいつら中身が餡子なんですよ。小豆のね。」 「へぇ、そりゃドクターが生物と認めたくないような顔になるわけだ。」 トムがニーリックスの説明に感心するが、ハリーは物体を見た時から思案げな顔だった。 医療室に物体を抱えて入っていくトムとハリー。 その姿を見たドクターが近づいてきた。 「ミスター・パリス、キム少尉。良く捕まえてくれた。」 「元はと言えばドクターが逃しちゃったんだけどな。」 「急患で注意を払うことができなかったんだ、理解して欲しい。」 「ドクター、理解する代わりに頼みがあるんだけど。」 「私にできることなら。何かな?キム少尉。」 「この物体の量子特性がこの時空と一致するかどうか調べてもらえないかな。」 「そんな事か、直ちにやろう。そこに置いてくれ。」 2人が空きのベッドに物体を置くと、ドクターがそれに医療用トリコーダを向けてスキャンを始める。 「かってにれいむをはこんだの、あやまってね!」 「ゆっくりできないひとははやくいなくなってね!」 「驚いたな、まさか本当にこの時空と量子特性が違うとは。」 「ハリー、何で分かったんだ。」 「ああ、それは…こいつらの格好を良く見てくれよ。」 そう言うと二つの物体を掴んでハリーとドクターの方を強制的に向かせる。 「かってにうごかさないでよ!」 「ゆっくりさせてよ!」 「こっちの方の髪飾りとリボン、どっかで見てないか?」 そう言って右手で掴んだ物体を持ち上げる。 物体は空中でもがき出すが抵抗は無意味だった。 「おろして!おろしてよ!」 「もしかして…博麗霊夢か?でもアレは大昔の創作の産物だろ。」 「そこがポイントなんだ。ついでに言うともう片方は霧雨魔理沙だ。」 「なんだその…博なんとかというのと霧あめというのは?」 「最近ハリーが夢中になってる21世紀のコンピュータ・ゲームの主人公だよ。」 「食物が主人公のゲームなのか?」 「ドクター、その話は後で。」 「あの断裂に関して重大な報告があるらしいけど、ハリー、一体何かしら?」 「あの断裂の正体が分かりました。」 ブリッジ左舷側の会議室では上級士官が殆ど集まっていた。 艦の進路正面に位置する断裂に関する会議のようだ。 「続けてちょうだい。」 「はい。人工的に作られた一種のワームホールです。」 「実に興味深い話だが、根拠はあるのか?少尉。」 「これです。」 そう言って卓の上に物体を置くハリー。 「もー!はやくゆっくりさせてよ!」 「もうまりさはどこにもいかないよ!」 「この物体があの断裂を通過して別時空からやって来た事が根拠です。量子特性が断裂と一致しました。」 「ではあの断裂の正体は?」 「この記録媒体のケースを見てください。」 そう言ったハリーは赤と青で塗り分けられた板を卓上に置いた。 「ひがし…かた…完璧なる桜花…これは?」 「漢字の所は日本語読みで“とうほうようようむ”です。見てもらいたいのはここです。」 そういってケースのある箇所を示す。 「亜空間断裂はこのシルエットと一致します。 つまり、あの断裂はこの作品中に登場する物です。」 「これは単なるお話ではないの?」 「本来ならばその通りなんですが、ある理論に従うとこの記憶媒体のデータは史実と言えます。」 そう言ったハリーは壁のコンソールを操作し、ある論文を表示させる。 「あまりにも突飛過ぎて忘れられた理論なんです。 この論文が発表されたのは22世紀で、確かめる術が無いために机上の空論として片付けられました。」 「どんな理論なんだ。」 「あらゆる創作はパラレルワールドにおいては真実である、という理論です。 転送装置発明前で平行宇宙に関する研究が殆ど進んでいなかったので確かめる術が無かったらしいです。」 「でも今はパラレルワールドの遭遇例はごまんとある。」 「パラレルワールドは事実上無限に存在することも分かっています。」 艦長とトゥボックが答える。未だに納得していない顔だったが。 「だが、あの空間の断裂が、その、東方とやらの平行宇宙と繋がったとは、それでは納得できない。 その物体が登場人物に似ていて、断裂がその絵と一致するというのは偶然の産物という事がまだ考えられる。」 副長が疑問点を挙げる。 もっともな話で、確かに偶然の可能性はこの理論では消しきれて居なかった。 「これを見てください。第二ホロデッキのホロ・マトリクスとあの断裂が亜空間回廊で接続され、断裂の向こう側と擬似的に同化してます。」 壁のディスプレイに断裂と船の概略図が現れる。 ハリーはさらに操作してホロデッキの状態を表示させた。 「外からはプログラムが稼動しているように見えてます。」 「稼動中のプログラムは?」 「東方紅魔郷です。」 ディスプレイのプログラム欄には“TOUHOU-KOUMAKYO #5”とオレンジ色の文字が表示されていた。 「この亜空間断裂は時空連続体のひずみが可視化したものだ。おそらく、シャトルのワープ・バブルでは時空連続体に影響を与え断裂を破壊するだけになるだろう。」 緩やかな曲面で構成された大型ディスプレイは、ナイフで皮膚を切ったときの切り口のようなものを表示していた。 船内では珍しい部類に入るこれが設置された部屋、そのコンソール前には深刻な表情で映し出された像を見るクルーの姿があった。 「ではセブン、物体をあの向こうに送り返すのは無理なのかしら?」 「一つだけ方法がある。ヴォイジャーの可変ワープナセルならば調整して通過できるはずだ。」 セブンが手元のパネルに数回触れると、ディスプレイにヴォイジャーとワープフィールドの概略図が現れた。 「ベラナ。調整にはどの程度かかるの?」 「この調整ならパラメータの変更だけなので、15分で済むかと。」 「よろしい。直ちに取り掛かって頂戴。」 『こちら機関室。ワープ・エンジン調節完了。亜空間フィールドを展開させます。』 「断裂まで30秒。」 「トム、断裂の向こうは大気圏よ。音速を超えないように注意して。」 「了解。現在秒速200メートル。」 ブリッジのメイン・スクリーンには、はみ出さんばかりの大きさの断裂が表示されていた。 拡大されたことにより視覚で捉えられるようになった構造が見て取れる。 まるで炎が揺らいでるようだと幾人かのクルーは思う。 「フィールド接触まで5秒。3、2、1。」 「亜空間断裂は構造を維持。成功です。」 スクリーンに映ったその裂け目は、まるで神話の怪物が食事を行うときのように口を広げた。 船が通れるだけの通路が完成したのだ。 「現在秒速200メートルを維持。」 「断裂進入まで10秒。」 「いいわ、そのまま…。」 船首部分からホログラムが消えるように、ヴォイジャーは断裂の通過を成功させた。 「むーしゃむーしゃ…」 「ハァハァ…うめぇ…」 まりさとれいむは幸せをかみ締めていた。 子供が殺された記憶を今でも残せるほど餡子ペーストは高性能ではなく、おいしい食べ物が目の前にある、こんな事で幸せを感じる事ができるのは、 自然界で厳しい立場にあるゆっくりが己を保つために身に付けた性質だった。 ここは変な形してしやたらと眩しいけど、食べ物はあるし、大好きなまりさと一緒だからしあわせー! そう思っているれいむが上を見上げると、彼女達をここに連れてきたニンゲンの顔が見えた。 最初は酷い事をされると思ったが、こんなにゆっくりできる場所に連れて来てくれて本当に良い人だと思ったれいむはお礼を言おうと飛び跳ねて前進した。 前進したつもりだった。だが、れいむの体は空中で弾き飛ばされ、ちょうど離陸した地点が着陸地点となった。 「ゆ?ゆゆっ!?」 「れいむ!どうしたの!?ゆっくりしてね!」 「むこうにいけないよ!とおれないよ!」 れいむの言葉を確かめようとまりさは友と同じ行動を取ったが、結果も友と同一だった。 「ほんとだ!とおれないよ!とじこめられちゃった!」 「おねえさん!はやくここからだしてね!」 目前で騒ぐ物体を見て、自分の中に流れる血のうちのごく一部分が己にある種の行動を取れと囁きかけていた。 しかし、同時に彼女の血の大部分は自制を求めていた。 彼女にとってこの種の葛藤は珍しいものではなかったが、だからといって職務に支障をきたさないという訳でもなかった。 結局、職務に集中することで葛藤から逃れようとするいつもの行動に移ろうとした。 その時、断裂通過時刻を過ぎた瞬間、照明が瞬き、海を進む船のような振動が船を襲った。 彼女がいる転送室も例外ではなかったが、自身はとっさの判断でコンソールをつかんで事なきを得た。 転送パッド上の物体はそうでもなかったが。 「今の衝撃は?」 「慣性制御が地表の重力と干渉して誤作動したようです。」 ブリッジ左舷側のコンソールと会話が交わされた。 大気圏突入プロセスを経ないからだろうと艦長は結論づけ、本来の目的を果たそうと指示を出した。 「地表のスキャン完了。人口はおよそ数千。エネルギー反応から産業革命初期の文明レベルですが、北西部の山岳はスキャン防御がされており詳細が不明です。」 「あの物体─生命体の反応はどうだ?」 「集落東部の森林に固まっています。」 「ホロデッキの状況は?」 「こちらに来た時に停止しました。」 「では、あの生命体を帰してあげましょう。 ブリッジから転送室、生命体の転送準備。」 「一時間で目が覚める。今のうちに転送してしまおう。」 魚雷ケースの中でぐったりとした物体に金属、無痛注射器をあてがったドクターは生命に深刻な影響は無いという意図の発言を行なった。 こんな生命体にヒューマノイド用の薬品が効くのかと疑問に思ったベラナが、その問を口に出す。 「何を注射したの?」 「ホットケーキシロップ。」 彼女は一応なるほどという顔だったが、今ひとつ納得がいかなかった。 「こちら転送室、準備完了。」 『直ちに転送して。』 ドクターが転送パッドから下りると同時に、物体はケースごと青白い光に包まれ、消え去った。 「地表から電波通信が入っています。」 「彼らには悪いけど無視して。干渉するわけにはいかないわ。」 「長居は無用だな。コースセット、目標デルタ宇宙域。」 「亜空間フィールドの準備完了。我々が通過すると同時に断裂を封鎖できます。」 「直ちに発進。」 「了解、スラスター起動。」 何事かと農作業を放り出して空を仰いだ人間の視線の先、陽光を受けて鈍く輝く灰色の船体が空中で旋回する。 来た時とほぼ逆向きになった瞬間、空中に幻想郷史上でも最大クラスではないかと思われるほどのスキマが現れ、宇宙船を飲み込んだ。 加工所の外、ゆっくりの脱走と襲撃に備えている部署ではちょっとした騒ぎになっていたが、内部で飼育にあたっている人物は全く感知していなかった。 その一人が毎日の単調な作業に飽き飽きしつつ、大型の飼育室に入るとゆっくりの腹立たしい声が聞こえてきた。 「何があったんだ?」 「あのね!あれがいきなりでてきたんだよ!びっくりしたよ!」 手近なまりさ種は捕まえて聞くと、その視線の先に紺色の直方体が鎮座していた。 こりゃなんだと思った男が近づくと、空気が抜ける音が僅かに聞こえ直方体が開きだす。 中にはゆっくりが二匹入っていた。 「あの連中、群れに戻れたと思うか?」 「そう思いたいところだね、居ないのはちょっと残念だけど。」 「餡子が無くなったのはそりゃ残念ですがね。」 食堂のカウンターで、ゆっくりは様々な理由からいなくなった事を惜しがられていた。 中にはゆっくりが嫌がりそうな理由もあったが。 彼等の想像とは全く反して、二匹のゆっくりは加工所で散々な目にあった。 屠殺されないだけそこのゆっくりの中では上位に位置する幸運だったが、どこからどうやって進入したか尋問されては、その幸運は実感できるはずも無い。 加工所のある部屋から今日も怒りしか覚えない類の悲鳴が聞こえてきた。 光子魚雷のケースを横流しで入手した河童がリバース・エンジニアリングしたり、 どうやったかその情報を手に入れた月の都が地上人に脅威を覚えデフコンが引き上がったりしたのだが、それは全くの余談である。 ゆっくり虐待でクロスオーバーなどという無謀極まりない事をしてみる。 教訓:思いつきでクロスオーバーさせると大抵グダグダになって始末に困る。 by sdkfz251
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前編?から ・・・月日は流れ。 さて、そろそろこないだのゆっくりの巣を見て回ってこよう。 まずは5匹の赤ゆを育てていた、れいむとまりさの巣。 季節は繁殖期の春・夏を終えて秋に差し掛かっていた。 本来なら赤ゆは子ゆっくりから成体に近いサイズに成長していてもいい時期で巣立ちをする頃だ。 たくさんの子ゆっくりと同居したまま冬を迎えればそれは一家全滅の危機につながる。 それどころか、今回は赤ゆのまま冬突入という死亡フラグが立っていた。 「そろそろ、おちびちゃんにもかりのしかたをおしえたほうがいいんだぜ!」 「ゆっ、だめだよ!おちびちゃんはまだあかちゃんだよ!」 「みゃみゃー、ごはんまだー?」 「ねぇねぇまりしゃのごはんは?」 「れいみゅたちいつまでおうちにいればいいの?そろそろおちょとであそびたいよ!」 冬越えに備えて大量の食料を貯めないといけないのだが 餌をとってくるのは親まりさばかり、親れいむは赤ちゃんの世話のため巣から出ることができず、ずっと引きこもっていた。 朝から晩まで駆けずり回って採れる餌も親れいむと赤ゆ5匹が食べてしまえば、明日の蓄えすらない。 季節の移り変わりに気づいていない親れいむはともかく、親まりさは焦っていた。 「このままだと冬さんがきて、みんなゆっくりできなくなるよ!れいむもいっしょにごはんあつめてね!」 「なにいってるの!あかちゃんをそだてるのがれいむのしごとだってまりさもいってたでしょ! ごはんをとってくるのはまりさのしごとなんだから、ゆっくりしないでさっさとごはんもってきてね!」 最近はずっとこんな口喧嘩が続いている。 「それなら、まりさがみんなのごはんをあつめてくるよ!」 暗がりから、帽子の先が欠けている子まりさが出てくる。 飾りが欠けていることで親れいむや赤ゆの虐めにあっていたまりさだが、食事量が他の赤ゆよりも少ない割りに 成長抑制飴を食べなかったことで立派な子まりさに成長していた。 「おまえは、そこからでてこないでね!ごきんじょさんに見られたらとおもうとゾッとするよ!」 「ゆぅ~ん・・・」 「ゆっくちできにゃいおねーちゃんは、みんなのうんうんをかたづけるしごちょしててね!」 「こんにゃまりしゃが、かぞくだとおもわれたらみんなゆっくちできにゃいよ!」 「ばぁ~きゃ!ばぁ~きゃ!」 親れいむに合わせて、赤ゆたちも子まりさをキャッキャっと罵倒する。 そんな様子を毎日見てきた親まりさは、ある疑問を感じていた。 親れいむが可愛がっている赤ちゃんたちは、ちっとも大きくならず幼いままだ 逆に、虐められている子まりさはすくすくと大きくなっている いままでは帽子が欠けている子まりさの事を障害のあるゆっくりと思っていたが、実は逆なんじゃないだろうか? その夜、親まりさは決心し 皆が寝静まってから子まりさを巣の外へと連れ出した。 「ゆぅ?おとーしゃんこんなじかんにどうしたの?おそとにでたらまりさおこられちゃうよ」 「ゆっくりきいてねまりさ!おとーさんは働かないれいむにあいそがつきたよ!これからは二人でくらすよ!」 冬はもうそこまで来ている! 子育てと称して働かないれいむや食べてうんうんするだけの赤ゆ達の分まで集めている余裕はもうないのだ。 ぽい~ん、ぽい~んっと元気よく旅立つ2匹。 新しい巣穴は、れいむたちが住んでいる巣穴からさほど遠くない場所に作った。 それでも引きこもっている彼女達がここを見つけることは出来ないだろう。 朝、親まりさがいない事に気づいたれいむ一家。 「ゆっ、きっとお日様がのぼるまえにごはんあつめにでかけたんだね! 赤ちゃんたちが大きくならないのはまりさがゆっくりしたごはんをとってこれないからだよ! はんせいしてたくさんとってくるきになったんだね!」 「ゆっくちできにゃいおねーちゃんもいないよ!」 「ほんちょだ、うんうんかたづけるしかのうのないまりしゃがいないね!」 「これでれいみゅたちがたべるぶんがふえるよ!」 「おうちもひろくなるし、せいせいするね!」 この日から、もうこの家にごはんを持ってきてくれる者はいなくなった。 それに気づくのはいつだろうか? 冬前にもう一度観察に来てみよう。 次は、実ゆっくりで成長が止まっている れいむとありすのつがいの巣を見てみよう。 「おちびちゃんたち、なんで産まれてくれないのぉ!」 「やめてねありす!赤ちゃんたちはいまお昼ね中なんだよ!」 れいむの頭上の実ゆっくりは目を閉じたままだが、「ゆぅ♪」とか「みゅ~♪」とか返事をするので 間違いなく生きていることはわかる。 しかし、まるで造花実ゆっくりが頭に挿されているだけの様に待っても待っても産まれてきてくれないのだ。 だから、ありすは毎日たくさんの食べ物をとってきてはれいむに与えた。 れいむは以前よりもでっぷりと太っているだけで結局1匹も赤ゆっくりは落ちてこない。 ありすは限界だった。 れいむの植物型出産が終わったら、次は胎生妊娠をしようねと約束していたにもかかわらず いつまでもそれが出来ない。 ありすは赤ゆっくりとゆっくりしたい以外に性欲をも我慢し続けていたのだ。 「もう、ありすは限界だわ!れいみゅぅう!ありすとすっきりしてねぇええ!すっきり!すっきりぃ!すっきりぃい!」 「やめてね!赤ちゃん達が見てるよ!それにすっきりとか言葉をつかうと・・・」 「ゆぅ~ちゅっきり♪」「みゅ~・・・すっきゅり♪」 「ほらぁ!赤ちゃん達がへんなことばをおぼえちゃうでしょぉおお!」 でっぷりと太った体でありすを突き飛ばす。 毎日、たくさんのごはんを食べ続けていたれいむは、いまやありすの倍は大きかった。 「いたっ!やめてっ!ごめんなさい・・・ひぃ!」 「ありすのとってくるごはんが少ないから赤ちゃん達も産まれないんだよ! わかったらゆっくりしないで、もっとごはんを持ってきてね!」 「こんなの、ぜんぜんとかいはじゃないわぁああ!」 巣穴から逃げるように泣きながら飛び出していくありす。 それでも、ありすはれいむも実ゆっくりも見捨てる気はなかった。 れいむの頭上にいる実ゆっくりは、ありすにとっても可愛くて、特にカチューシャをつけている2匹の実ゆっくりは 自分にそっくりで都会派だったからだ。 れいむに横になってもらい、実ゆっくりとほほをすり合わせて「すーりすーり♪」した時は 「みゃみゃ・・・♪」「ちょかいは♪」と返事をしてくれてそれが一層の励みになった。 こうやってれいむと喧嘩をした時は、きまってありすは普段よりもたくさんのごはんをとってきた。 さつまいもに、にんじん、キャベツに大根 れいむと仲直りするために、危険を冒してもゆっくりしたごはんをとってくるのだ。 そんな都会派なありすの背中を見送って 次の巣に向かうことにした。 「ぎゅびぃびゃぁああああぁぁあ・・・うひぃぃいいいいい!」 洞窟から聞こえてくるのは、耳をつんざくようなまりさの悲鳴。 ここには善良な50センチサイズの胎生妊娠をしたまりさがれいむと住んでいる。 「まりざぁあああ!ゆっっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」 しきりに、れいむがまりさを気遣って声をかけているが まりさのために何も出来ることがなくまりさの周囲をぐるぐると跳ねて泣きじゃくっていた。 以前来たときにあった敷き詰められた葉はそこらじゅうに散らばり、山の様にあった果実は暴れるまりさに踏み潰され それが腐り異臭を放っていた。 「おい、これはいったいどうしたんだ!」 「ゆっ、にんげんさん助けてね!まりさが赤ちゃんがなかなか産まれないから 心配して、お腹に力をいれて無理に産もうとしたんだよ! そうしたら、急にまりさが苦しんでそれからずっとこうなのぉおお!」 「ゆびぃぃいいいいぃい!ぐるじいぃぃいいい!もうまりざをごろじでぇええええ!」 まりさの全身に脂汗が滲み、苦痛からすこしでも逃れようと身をよじってごろごろと転がる。 れいむによると、もう数日もこの状態なんだそうだ。 ゆっくりは餡子が体から漏れない限りなかなか死なない、その生命力が災いしてまりさを苦しめ続けていた。 「まりざぁあああ!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」 もう、まりさは「ゆっくりしていってね!」に反応しないくらい精神が擦り切れていた。 こいつらは善良なゆっくりだ。出来れば助けてやりたい。 なにかないかとポケットを探ってみるとなぜかトングが出てきた。 トングとは、ピンセットを大きくしたような道具で 焼肉をひっくり返したりバーベキュー等で使う料理器具だ。 それがなぜ、この状況で俺のポケットから出てきたのかはわからない。 きっと、なにか見えざる力がこの善良なゆっくりとトングとを引き合わせたのだと考えるしかなかった。 さっそく、トングをまりさの産道に突き刺す。 「ゆびゅぅぅういいいぃいいいいいいいいいぃいいい!」 それから、トングを内部で広げる。 「ぎゅぴゅうぅぅううううぃいいぃいい!」 あまりの激痛にまりさは泡を吹いて白目を剥いていたが、これもまりさを助けるためだ。ゆっくり我慢してね♪ トングの間に何かまるっこいものがひっかかる。これをキャッチ。 「まりざぁぁあああ!がんばっでぇええええ!」 れいむの声援と唾が後ろから飛んできてうざい。 フンッ!と一気にトングを産道から引っこ抜くと そこには、1匹の子れいむがひっかかっていた。 「ゆぎぃぃいい・・・いぢゃいよぉぉおおお!」 続けて、もう一度まりさの産道にトングを突き刺すと今度は子まりさ、子れいむが出て 最初の子れいむと合わせて合計3匹の子ゆっくり。 まりさの苦痛はとれた様で、悲鳴はぜぃぜぃという息遣いに変わり命に別状はなさそうだ。 「ゆぎぃぃいいいぃいい!あかちゃんがぁああああ!」 代わりに悲鳴をあげたのはれいむだ。 3匹の子ゆっくりは未熟児で 最初の子れいむは目がなく、2匹目の子まりさは口がなく、3匹目の子れいむはその両方がない。 成長抑制により、胎児の状態で成長が止まってしまったのだろう。 「いぢゃいよぉ!みえないよぉ!おがぁしゃんどこいるのぉお!」 「ばでぃさのあがじゃんぐぁぁああ!」 「なんでおべべがないのぉ!おぐちがないのぉ!りょうぼおないのぉ!」 口がない子まりさは、その目で両親にしきりに「なんで、まりさはおくちがないの?」と 目も口もない子れいむは、口がないはずなのに体の内部から「うぼぉおおぉおお」と奇怪な音をさせていた。 長い苦痛から産まれた赤ちゃんがこの仕打ちで親れいむも親まりさも心が折れかけていた。 これでは、この一家は冬越え前に生きる気力を失って死んでしまうかもしれない。 それじゃ面白くないよね。 「れいむ!まりさ!しっかりしろ!お前らは親だろ! 子供達はもっと苦しいんだ!悲しいんだ! なのに、お前らときたらなんだ?あまったれるな! お前らがしっかりして、この子達をゆっくりさせてやらないと誰がこの子達をしあわせにしてやれるんだ!」 思いついたセリフをまんま言ってみた。 どういうわけか親ゆっくりどもの目に生気が戻る。 「ゆっ、そうだよ、この子達はまりさの子供だよ!目や口がなくたって、この子達はまりさとれいむの愛から 生まれた、ゆっくりした可愛い子供だよ!」 「ごめんねおちびちゃんたち!れいむよりもつらいよね!?かなしいよね!? れいむ一生懸命この子達を幸せにするよ!」 俺は腕を組んで、うんうんと頷いた。 頑張って子ゆっくりを育てろよ!間違っても殺すとか捨てるとかして 代わりに健康な赤ちゃんを産もうとか思いつくなよ! さて、冬越え前にまたこいつらの様子を見に来ようかな。 俺は善良なゆっくりの巣を後にすることにした。 冬は、早朝 雪の降りたるは言うべきにもあらず、霜のいと白きもまたさらでも、 いと寒きに・・・ 肌に突き刺さるような寒さを我慢して、さっそくゆっくりの巣を訪れた。 「みゃみゃ~・・・おにゃかすいちゃよぉ~・・・」 「ゆっくちしちゃごはんたべんちゃいよぉ・・・」 「ゆぅ・・・おとーしゃんかえっちゃきちぇ・・・」 「うるさいよ!おなかすいてるのはおかーさんだっていっしょだよ! それもこれも、まりさがわるいんだよ!」 まりさが帰ってこなくなってから、親れいむ1匹で餌を集め生きながらえていた。 餌を集めると言っても、普段狩などしたことがないため巣の周辺に生えていた草を引っこ抜いては持ち帰るという適当な採取で 甘い草とそうでない草の区別がついていない上、すっかり採り尽くして遠くまで行かなければ草一本生えていない状況まで追い込まれていた。 これは、もう数日もすれば共食いなり餓死なりして全滅だろうな。 ほっといても破滅する巣に興味をなくし次の巣へと向かおうとしたその時、1匹のゆっくりがこの巣へやってきた。 見つからないように気配を消して様子を伺う。 帽子の先が欠けているあのまりさだった。 「ゆっ!ゆっくりしていってね!まりさ、みんなのためにたくさんごはんあつめたよ!」 帽子の中には、秋の終わりに集めた木の実やキノコ、食べられる草がぎゅうぎゅうに詰まっていた。 親まりさと一緒に冬を越えるための大切な食料であったが、まりさは自分の分を家族に分け与えるという選択をしたのだった。 得意満面の子まりさ しかし、家族の反応は冷ややかだ。 シーンっと静まり返っていた一家は噴出すように喚きだす。 「こにょばきゃまりさ!じぶんだけごはんをひとりじめしてたんだよ!」 「ゆっくちよこちぇー!くちょまりちゃー!」 「こいつのせいでおうちのまわりのごはんがなくなっちゃんだ!そんにゃにとっちゃから!」 「ゆぅ・・・ちがうよ、これはまりさがいっしょうけんめいあつめ・・・ゆべっ!」 まりさの背中の皮が千切れ餡子が漏れ出す。 親れいむがまりさを噛み付いたのだった。 「・・・なんで、おかーしゃん・・・」 「ゆっ、これでゆっくりふゆをこせるよ!おちびちゃんたちもたくさんたべておおきくなってね!」 「むっちゃむっちゃ!ちあわちぇー♪」 「このきのこゆっくちしてておいちーよ!」 「こっちのきのみ、かちゃ~い!みゃみゃやわらきゃくちてね!ゆんゆ~ん♪」 「ゆ・・・ゆ”ゆ”・・・ゆ”・・・」 まりさはまだ息があるようだったが時間の問題だろう。 そのうち物言わぬ餡子になり、こいつらの冬越えのたしになるのか・・・。 憎たらしい親れいむや赤ゆどもを叩き潰したい衝動にかられたが、それは今回の観察の趣旨に反するのでこらえることにした。 赤ゆが一生赤ゆから成長しない以上は、いずれゆっくり出来ない事態に陥る事を祈り次の巣へと移動する。 れいむとありすのつがいはどうなっただろうか 巣穴を覗くと、そこには頭上に実ゆっくりを生やしている親れいむしかいなかった。 そして4個ついていた実ゆっくりは3個に減っている。 ちょっと状況がわからなかったので、姿を見せて親れいむから事情を聞いてみる。 「ゆっ、このまえのあまあまさんをくれたおにいさん、ゆっくりしていってね!」 「ちゅっきりちていっちぇね!」 「ちゅっくち!」 「ゆぅ~ちゅっくちー!」 頭上の実ゆっくりは目を閉じたままだが、親れいむの”ゆっくりしていってね”に反応していた。 ありすがあんまり「すっきり」と言うものだから実ゆっくりに伝染し「ちゅっきりしていってね!」と覚えてしまったそうだ。 「つがいのありすはどうしたんだい?」 ありすの事を聞かれたれいむは目を伏せて暗い表情を浮かべている。 その目線の先には、ありすのカチューシャがあった。 冬越えのためにありすは一生懸命食料を集めたが、いっこうに落ちてこない実ゆっくりに業を煮やし 気に入っていた実ありすをもぐ事にした。 自分で生まれることが出来ないのなら手伝ってあげればいいと考えたからだ。 もがれた実ありすは柔らかい葉っぱに落ちて、目を開いて赤ゆっくりとなんらかわらない様に見えたが 横向きのままで自分では立つことも出来なかった。 口があっても挨拶はしないし、どんな餌を口に運んでも噛むことも飲み込むことも出来ない。 それでも、ありすが顔を近づけて「すーりすーり」とほおずりをすると、実ありすは「ゆっ♪ゆっ♪」と喜んで 確かに実ありすが生きていることがわかった。 それから、半日もしないで実ありすは萎れてきて、ありすは餌をよく噛んであげて口移ししたりお水を飲ませようとしたが 結局、最後には「ゆ”ゆ”」と苦しそうな声をあげながら痙攣し干からびてしまった。 悲しみに沈むありすは我を忘れて、れいむの頭上にいる他の実ゆっくりももごうとしたため、止めるれいむと揉みあいになり 気がつけばありすは潰れていたという。 ふと親れいむを見ると、実ゆっくりのために過剰に食料を食べていたため太ましく大きい。 連日の餌採りに疲弊して痩せたありすにはひとたまりもなかった事が伺えた。 「おにーさん、またあまあまをちょうだいね!」 このまま、このれいむを放置してもいいが実ゆっくりごと餓死するだけなのは目に見えている。 それでは、もう観察する面白さがない。 先日、捕まえたコンポスト用の赤ゆも替え時なのでコイツを新たなコンポストにしよう。 実ゆっくりのために、たくさん生ゴミも腐ったゴミも食べてくれるに違いない。 「ゆっ、おにいさんはなしてね!れいむがいくらかわいくてもゆうかいしないでね!」 右手でジャンケンのチョキの形をつくり、そのチョキが綺麗にれいむの両目に突き刺さる。 「ゆぎゅ!」 これで少し大人しくなった。 善良なゆっくりの巣は意外にも幸せそうだった。 3匹いた子ゆっくりのうち、口のないまりさと目も口もないれいむは餌を食べることが出来ずにすでに死んでいたが その分、目の見えないれいむ1匹を可愛がっていた。 「きょうは、寒いからおかーさんたちとくっついてすーりすーりしながら寝ようね!」 「まりさはおちびちゃんのために、葉っぱさんの服をつくってあげたよ!」 「おかーしゃん、すーりすーり♪はっぴゃのふくあっちゃか~い♪」 大き目の葉を、まるで桜餅の様に縦に着ている子れいむ。 成長抑制剤のおかげで体の大きさは一生そのままだが、目が見えずとも親の愛を一身に受けて育っていた。 子れいむにしても生まれたときから目が見えないわけで自分が不幸である事を自覚していない。 だから、自分が幸せなのだと思っていられる。 障害を抱えた子供を殺すに殺せずに苦しみ続けているという状況を想像していただけに 逆に幸せなゆっくり一家を見せ付けられるとどうにも気持ち悪い。 いっそのこと一度、子れいむに光を与えてみるか。 時に希望は絶望への最高のスパイスになりうるのだ。 「ゆっ、この間のおにーさん!」 「おにーさんのおかげで、ひとりだけおちびちゃんを助けられたよ!」 「ゆっくちしていってね!」 こいつらの中では、苦しむまりさを手術して助けてくれた人間という事になっていた。 「その子ゆっくりが心配でね、今日はその目を治しにきたのさ!」 コンポストで育てた赤ゆは今では子ゆっくりサイズになっており、1匹締め上げ目玉をくり貫いて持ってきた。 それを目が見えない子れいむに填め込んでやりオレンジジュースをかける。 眼球の大きさは個体差が少なく、同じれいむ種のものを使えば一応は見えるようになる。 それから小麦粉を溶いてまぶたをつくってあげた。 「ゆっ・・・」 おそるおそる、目を開く子れいむ。 生まれて初めて感じる光 洞窟の中は薄暗いが、それでも子れいむには色とりどりの美しい世界 そして初めて見る親れいむと親まりさ なにもかもが輝いてそのキラキラしたおめめに飛び込んできた。 「ゆっくちしていってね!ゆっくちしていってね!」 「おちびちゃん、おめめが!おめめがあるよ!」 「とってもかわいいおめめだよ!すごくゆっくりしてるよぉ!」 大きな体でまるで赤ゆっくりの様に洞窟内を飛び跳ねる親れいむと親まりさ 初めての妊娠している事がわかった時にも、こんなに喜んだことはなかった。 その姿を見た子れいむも、一緒になって飛び跳ねたりほほをすり合わせたりして、今確かにゆっくり出来ている事を実感する。 だが、これは一時的なものなのだ。 目が見えるとはいえ、自分の体と完全に同化したわけではなく、この移植された目は死んだままだ。 だから数日もすれば朽ちて腐敗し、また暗闇の世界へと帰ることになる。 あー、ごほんごほんっと咳払い それから親ゆっくりに説明をした。 「ゆぅ・・・おちびちゃん、また目が見えなくなっちゃうの?」 「そんなのだめだよ!ずっとゆっくりさせてあげたいよ!」 「れいむ、おかーしゃんたちがみえなくなるのいやだよ・・・ゆえぇ~ん」 そこで提案する。 「また、新しい目を移植すればいいんだよ」 他の子ゆっくりの目をくり貫いて、この子に与える。 癒着させるためにはオレンジジュースでなくても水で溶いた餡子でもいい。 「ゆぅ・・・」 「ゆゆ・・・」 「ゆわあぁ~ん・・・おかーしゃんたちみえなくなるのやだよぉお!」 何しろ善良なゆっくりのつがいだ 他人を不幸にして自分が幸せになろうなんて思ったこともないに違いない。 すぐには答えを出せないだろう。 一通りゆっくりの巣を見て回ったし家路につくことにした。 もっとも、自分の幸せではなく子の幸せなら 最後に出す答えは始めから決まっているんだけどね。 だけど、それを選択したら一生続けることになるよ、ゆっくりできない餡子まみれの生活を・・・ なにしろ、その子は一生大人になることがないのだから。 台所の三角コーナーには、冬前に拾った赤ゆが数匹詰まっている。 蓋が閉まるタイプなので、カシカシっと内側から壁を叩く音はしても声までは伝わらない。 しかし、何が言いたいのかはだいたいわかっている。 蓋を開けた。 「れいみゅ、にゃんでもたべまちゅからごはんをくだしゃい、にがきゅてもからきゅてもいいでしゅ」 「なにかまりしゃわるいことしましちゃか?あやまりましゅ・・・あやまりゅのでごはんをくだしゃい・・・」 「ありしゅはくさったにょでもよろこんでたべましゅ・・・おいししょうにたべまちゅから・・・」 3匹ともカビの生えた使いかけの古い石鹸をこね合わせたように緑色やオレンジ色、紫色のグラデーションが外皮に 紋様を浮かべていた。 初日こそ「あまあまよこちぇじじー!」だの「こんにゃのたべるくりゃいならしんだほうがまちよ!」なんて反抗的だったが 結局は餓死の地獄の苦しみには耐えられず、なんであろうと口にした。 目に見えて変色してくると、もはや末期だ。 ゆっくりコンポストは生ゴミを餡子に変化させるから価値がある。 しかし、ここまでくると生ゴミを食べても生ゴミを排泄してしまうのだ。 「釈放だよ・・・」 彼らに向かってニッコリっと満面の笑顔を見せてそう告げた。 不要になっても潰したりはしない。 よく働くように希望を持たせるため刑期を終えたら自由にしてやると約束をし、キチンとそれを守る。 素手で掴むと異臭のする汁が肌に触れてしまうため三角コーナーごと庭に持っていくとひっくり返して外に捨てた。 「おうちかえりゅよ・・・れいみゅ・・・みゃみゃにあいちゃいよ・・・れーみゅしゅーりしゅーりしちゃいよ・・・」 「まりしゃのおかーしゃん・・・ゆっくちちていっちぇね・・・まりしゃこれからおうちかえりゅよ」 「ありしゅ・・・もっとゆっくち・・・しちゃか・・・ゆ”ゆ”ゆ”ゆ”」 ずりずりとナメクジの様に這って進む赤ゆども。 腐敗物だろうとカビだろうと何でも好き嫌いなく食べれる彼らは道の草だろうと犬の糞だろうと食べて餓死を免れ 本当に親元まで帰れるかもしれないな。 親がこいつらを見てどういう態度をとるかは知らない。 思い出は、きっと思い出にしておいたほうが美しいんだろう。 「ここはどこなのぉ!せまくてゆっくりできないよ!」 円筒タイプのゴミ箱の底に設置した生まれない実ゆっくりを生やしているれいむが目を覚ました。 とりあえず一週間前に食べ残した弁当箱の中身を捨てよう。 食べなくてもかまわない。 それが二週間前の食べ残しになってから餡子になるだけのことさ。 「くしゃいぃー!こんなのたべれるわけないでしょ!ばかなのしぬの?あまあまもってきてよね!」 蓋を閉めると、内側をガシガシと叩く音だけが響いていた。 おまけ 子まりさ1匹が帽子一杯に貯めた食料などたかがしれていた。 それに加えて狩をまりさにまかせっきりだったれいむは冬越えのための食料を節約しないといけないという事もわかっていなかったので 親れいむ、赤まりさ、赤れいむ3匹でお腹一杯に食べれば3日で尽きてしまった。 それから、死んだ子まりさの餡子をむさぼり それも尽きると今度は親れいむが赤まりさに噛り付き、赤まりさを食料にした。 「それもこれもまりさがわるいんだから、まりさがせきにんとってね!」 「まりしゃがたべられればいいんだよ!」 「ばーきゃ!ばーきゃ!」 「ひとりだけちがうこなんてゆっくちできにゃいよ!」 「いちゃい!やめちぇね!まりしゃはおかーしゃんのあかちゃ・・・ゆ”ゆ”ゆ”ゆ”ゆ”ゆ”ゆ”」 どれくらい時間が流れただろうか その赤まりさを食べつくした頃、突如入り口を塞いでいた枝や葉が取り除かれて 冷たい風が吹き込んできた。 親れいむはお帽子のシルエットに、まりさが帰ってきたんだ! 反省して、やっとみんなのごはんを採ってきて帰ってきたんだと思った。 その影が近づいてくると、成体よりもはるかに大きいまりさであることがわかり別人であることに気づく。 つづいて、同サイズのれいむが入ってきた。 「ごめんね、まりさのおちびちゃんのためにおめめをちょうだいね!」 「ていこうしなければいのちまではとらないよ!ほしいのはおめめだけだよ!」 その年、冬篭りが終わると 目を失ったれいむ種ばかりが巣穴から這い出てきたので人間たちはその森が呪われていると恐れ 結果的に、以後数年に渡りゆっくりたちを脅かす者がいなくなり やがて、ゆっくりプレイスと呼ばれるようになったそうな。 「れいぶ・・・なんでもたべますから・・・ごはんをください くさっていても、にがくてもおいしそうにたべます・・・どうかどうかあかちゃんのためにもごはんをください・・・」 「ゆぅ・・・」「みゅ~・・・」「ちゅっきり・・・」 過去の作品 ゆっくりいじめ系1222 ゆっくり繁殖させるよ! ゆっくりいじめ系1254 赤ちゃんを育てさせる ゆっくりいじめ系1261 水上まりさのゆでだこ風味 ゆっくりいじめ系1297 ゆっくり贅沢三昧・前編 ゆっくりいじめ系1466 ゆっくり贅沢三昧・後編 ゆっくりいじめ系1467 まりさの皮を被ったアリス ゆっくりいじめ系1468 肥料用まりさの一生 ゆっくりいじめ小ネタ222 ゆっくっきんぐ ドナーツ編 ゆっくりいじめ系1532 可愛そうな赤ちゃんにゆっくり恵んでね ゆっくりいじめ系1580 ゆっくりしなかった魔理沙と愛のないアリス ゆっくりいじめ系1673 ゆっくりクアリウム ゆっくりいじめ系1715 ゆっくりトイレ ゆっくりいじめ系1735 ゆっくりれいむと白いお部屋 ゆっくりいじめ系1743 プラチナまりさとフリーすっきり権 ゆっくりいじめ系1761 ちょっとしたイタズラ ゆっくりいじめ系1905 あったかいゆっくり ゆっくりいじめ系1935 しゃべらないゆっくり ゆっくりいじめ系1940 愛されまりさの一日 ゆっくりいじめ系1993 加工場産の赤ゆっくりを育てる 前編 ゆっくりいじめ系1994 加工場産の赤ゆっくりを育てる 中編 ゆっくりいじめ系2110 加工場産の赤ゆっくりを育てる 後編1 ゆっくりいじめ系2111 ゆっくり二世帯住宅 ゆっくりいじめ系2143 いっしょうのおねがい 作者:まりさ大好きあき
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Aから B、 「ゆっくり! ゆっくり! ゆっくり~!(霊夢! 私お手伝いするよ! ちょっと聞いて!)」 「はいはいうるさいわね。今忙しいんだから離れなさいよ。今日の宴会は地下の奴らまで来るんだから、たくさん酒がいる分早く用意しないといけないのよ」 博麗神社にて、博麗霊夢が自らの顔を模してリボンを付けた生首に飛び掛られ、 うざったそうに眉を顰めている。 その生首の名はゆっくりと呼ばれている、幻想郷に突如出現した謎の物体だ。 ゆっくりは涙目で霊夢に飛び掛り続ける。 「ゆっくりしていってよ~!(私の話聞いてよ!)」 「ゆっくりできないっての」 霊夢は胸の辺りまで飛び跳ねてくる涙目のゆっくりを手で払い、 これまで行なってきた宴会の準備の作業を再開する。 「霊夢~、酒の用意は万全だぜ~」 「おつまみの準備もできたわよ」 霊夢の友人である魔理沙とアリスが声をかけながら近寄ってくる。 二人の背後には霊夢と霊夢のゆっくりの関係のように、 魔理沙とアリスの二人に対し、それぞれの特徴を持ったゆっくりがそれぞれ一匹ずつ飛び跳ねている。 「霊夢のところのゆっくりって本当に甘えん坊ね」 「そうなのよ……。こいつときたら私が忙しいことを知ってるのにこうして擦り寄ってきて……うざったいったらありゃしない」 霊夢は若干苛立ちを交えながら吐き捨てる。 「私のとこのもかまって欲しがりだが、霊夢のところはとびっきりだな」 「あれ? どうかしたのゆっくり」 「なんだ? ゆっくり同士で話し合いでもするのか?」 魔理沙とアリスのゆっくりがぽんぽんと跳ね、霊夢のゆっくりに近寄る。 霊夢のゆっくりに対して説得を試みているのだろうか。 少女達が若干期待しながら成り行きを見守る。 「ゆっくり! ゆっくり! ゆゆう!(どうかしたの? 主人と痴話喧嘩でもした?)」 「ゆっくり~! ゆゆゆ!(もしかして女の子の大事な日? タンポン貸してあげよっか? それとも貴方はナプキン派?)」 「ゆゆっくり!(何でもないよ! 向こうに行ってて)」 「 「 ゆ~!(あ、ちょっとこら!) 」 」 けれど、二匹が声をかけたにもかかわらず、霊夢のゆっくりは尚更霊夢に引っ付く。 魔理沙が「駄目だこりゃ」と頭を抱えた。 「私の言ってることがわからないのかしら……まったく」 「ゆっくりの方だって私達の言葉を喋れないんだから、私達の言葉なんてわからないのかもな」 「とはいっても……私が忙しいことぐらい見てわからないの? ……まったく、何を考えていることか知ってみたいものだわ」 「う~ん、『腹減った! 仕事してないで飯よこせ!』だとか、『もっと私を優しく扱え! かまえ!』みたいな感じなのかな? それにしてはちょっと様子がおかしいけどな」 「ま、後でさとりにでも聞いてみることにするわ」 霊夢は淡白な様子で答えた。 今日は地下の妖怪達も来る。彼女達はゆっくり達とは初の顔合わせになる。 そのときに心を読む程度の能力を持つさとりに聞けばいいだろうと考えた。 「ゆっくりしていって――(霊夢~――)」 「ほら、邪魔よ」 ばしっと、霊夢は飛び掛る自らのゆっくりを手で払いのけ、おつまみを乗せたお盆を持っていった。 ◇ 幻想郷に突如出現した動く生首、ゆっくり。 ゆっくり達は幻想郷の有名人達の顔を模して潰した生首のような姿をいるが、 それ以外の生態は謎に包まれており、どこから来たのか全くの不明で、 「ゆっくりしていってね!」と鳴くことから「ゆっくり」と名づけられたこと以外は誰もわからない。 けれど、そんな謎の存在ゆっくり達にもある一つの共通点があった。 それはその顔のモデルになった人間や妖怪、果ては妖精にひどく懐くということだ。 モデルとなった少女達は自らの姿を模した謎の生き物が擦り寄ってきてどう扱えばわからず、 とりあえず放置する者、仲良くなって共に暮らす者、非常食としてとっておく者と様々だった。 そして先ほどの霊夢のゆっくり。 霊夢の神社の庭にある日いきなり出没し、まるで親に出会った迷子のごとく霊夢にひたすら懐いた。 霊夢は退治するべきか放っておくべきか迷ったが、特に悪さをするわけでもないので放置することにした。 そして今では霊夢とゆっくりが奇妙な同棲生活を行なうこととなったのである。 ◇ 「乾杯!」 「「「かんぱ~い!」」」 今夜の宴会は非常に賑やかなことになった。 博麗神社の庭では人間、妖怪、妖精、鬼、天人、神、様々な種族が入り乱れて、 派手に豪快に呑めや歌えやの大騒ぎ。 これまで特に交流がなかった面々も酒の力で互いの距離感が近くなり、飲み比べでその度量を認め合っていった。 そして宴会が進むに連れて、次第に気が合う者同士でいくつかのグループに分かれていく。 酒に強く騒ぎ立てる者達、お喋りに興じる者達、少し距離を置いて自分のペースで飲む者達。 皆が皆、自由に酒と場の雰囲気を楽しんでいる。 そんな中、ある一角が周りの目を引いた。 「ゆっくり!(お酒最高!)」 「ゆっゆっ! ゆっく、ゆっくり!(あっ! それ私の! 返してよ! 主に口移しで!)」 「あ~う~(ねぇ、野球拳しようよ!)」 「きゃなこ~ん(うちら脱ぐものが殆ど無いじゃん。そもそも手が無いからジャンケン出来ないし)」 ゆっくりである。 ゆっくり達が庭の端の方に陣取って、集まり、酒宴に興じている。 ゆっくり達はころころ、ぽてぽてとその丸い体を転がし、 飛び跳ねながら、口しかないのに器用に酒を注ぎ、呑み、つまみを食す。 そんな生首たちの酒宴の様子を、幻想郷の少女達は伺っていた 「あいつらって、ゆっくり達って本当に何者なんでしょうね?」 妖夢が周囲に聞かせるように呟いた。 「特に何かをしでかすわけでもないですし、それどころか私の場合何故か仕事を手伝ってもらったこともあるんですが」 彼女はゆっくり妖夢に自らの庭師の仕事を手伝ってもらっているので感謝の気持ちもあるのだが、 妖夢自身はゆっくり妖夢の事を何も知らない。 「ゆっくりねぇ……新種の妖怪って感じでもないわね。あんな感じで私達の姿に似せているのは一種の擬態かしら? ……まぁ似てないし、何者かわからないけど、放っておいても無害だし別に大丈夫じゃない?」 パチュリーが「どうでもいいし」と付け加え、興味なさげに冷めた表情で妖夢の質問に答える。 ゆっくりパチュリーは図書館の本を読むだけで、特に何もしてこなかった。 いてもいなくても関係がないのなら、毛玉のようなどうでもいい存在だ。 「私のところのゆっくりは何だか年中ゲラゲラ笑ってうるさいから迷惑なのよね~。もう少しおとなしくして欲しいんだけど」 うどんげが唇を尖らせながら不満げに呟く。 魔理沙はニヤリと悪そうに笑いながらうどんげの方を向いた。 「そんなに邪魔なら兎鍋にすればいいじゃないか。うどんげのゆっくりだから兎みたいだし。何なら今から捌くか?」 「共食いみたいなんで勘弁して……。私の姿を真似ているものが食べられていい気はしないし」 「そうか、それはありがたい。うどんげがゆっくりの代わりに酒の肴に捌かれてくれるなんて」 「何でそうなるのよ!」 うどんげがばんと床を叩いて突っ込む。 「だけどゆっくり達って本当に賑やかね。う~う~鳴いてて、私達には何喋ってるかわからないけど」 「何を話してるのかな?」 腕を組んで考え込むレミリアと首を傾げるフランドール。 彼女達の言葉に反応して、魔理沙がぽんと手を叩いて注目を集める。 「そういえばさっき霊夢と同じ話をしたんだよ。『ゆっくりって何を話しているのかな』って」 「へ~、やっぱり『お腹すいたよ、ごはんちょうだい』とか、『あそんで~』とかかな?」 「いや、言葉が通じないことをいいことに命令形で話しているのかもしれないわ。『飯』『風呂』『寝る』」 段々と皆が魔理沙の話に注目を集めていく。 『ゆっくり達はどのようなことを話しているのか』 それが宴会に参加している者達の興味の中心となった。 普段は「犬や猫が何を話しているかどうでもいいようなものだろ」と興味なさげに言うような者達でさえも、こっそりと耳を傾けている。 何故ならゆっくりは自分達の姿を真似ているのである。 自らに関係がありそうなことなら多少の興味はあるというものだ。 ◇ 「すいません遅れました。それと灼熱地獄跡地での炉の仕事が滞っていて、お燐とお空は残業で来れません。こいしも今日はちょっと連絡が付かなくて――」 「お、さとりじゃんか――そうだ! おまえいいところに来たな!」 魔理沙はやってきたさとりの顔を見るなり、何かを企むような顔で擦り寄って手をとる。 突然手を握られたさとりは何事かときょとんとしながら魔理沙の目を見る。 「な~さとり~、おまえ『ゆっくり』って知ってるか~」 「『ゆっくり』……ですか。地上で最近話題になっている、幻想郷の少女を模した饅頭顔の生首のことですね。私はまだ見たことはありませんが、それがどうかしました?」 「実はちょっと頼みがあるんだけどさ~」 「『さとりにゆっくりの考えていることを読んでもらおう』ですか。貴方、私の事を通訳か何かと勘違いしていませんか? ……してますね」 さとりがその座った目をより細めてジト目となり、呆れながら言う。 「いいじゃないかよ~。減るもんじゃないし~。お願いさとりちゃ~ん」 「馴れ馴れしいです。それに酒臭い。酔っ払いは突拍子もないことを考えるから苦手です」 「だったらなんでこんな場所来てんだよ~。ホントは誘われて嬉しいんだろ~。うりうり~」 「想起『二日酔いの朝』」 「ぎゃあああああああああああ!! 酔いで空が落ちてくるぅぅぅぅ!!」 トラウマを蘇らせた魔理沙が頭をぶんぶん振りながら痛みにうなされる。 調子に乗った結果馬鹿を見た小娘の醜態に、周りからゲラゲラと笑い声が上がった。 「でも私も興味あるわね。悪いけど貴方、ゆっくり達の通訳お願いしてもいいかしら?」 「ね~、貴方心を読めるんでしょ~。だったらやってみて~」 そんな衆人達を掻き分けてきたレミリアと、彼女に手を引かれたフランがさとりに対してお願いする。 普段だったら恐怖の対象であるさとりの読心も、酔っ払いの席では誰も気にしない。 思ったことがすぐ口から出るためだ。 とはいえ、さとりは気軽に能力を行使するように頼まれて若干気が引けてしまう。 能力によって疎まれた過去を持つ彼女は、その扱いに関しては誰よりも慎重だ。 「え~と……貴方達、もしゆっくりの心の中が仮に「ご飯よこせ~。この召使いめ~」みたいな感じで貴方達に対して過度に偉そうだったりしたらどうするんです?」 「 「 今夜のおつまみにする 」 」 即答だった。周りを見れば他の少女達もうんうんと頷いている。 さとりが心を読む間も無かった。 素面の状態でもゆっくり料理をやりかねない彼女達。 酔っ払って自制心が効かなくなった今では、何か失礼があったらゆっくり達はおつまみの刑は免れないだろう。 「……やっぱり駄目です。動物は喋れない分欲求に正直ですから、あまり夢や幻想はもたないであげてくださいね」 さとりはそう言い残すと彼女達から離れた。 不満げな声が挙がったが、ここで捕まったら面倒なことになる。 こういった場合は別のグループに入るのが一番だ。 さとりはキョロキョロと周りを見渡しながら、その場を離れた。 ◇ 「いいところに来たじゃないの、さとり。相変わらず遅れてくるわね」 さとりが辺りをうろうろとしていると、縁側で座っている博麗霊夢に声をかけられた。 反応して霊夢の顔を見ると、頬がほんのりと赤く上気している。酒によるものであろう。 けれども何か気がかりなことがあったのか、いつもよりも酔いのまわりが悪いように見える。 「こんばんは、霊夢さん。色々あって遅れてすいません」 「別にそれぐらいで謝らなくていいわよ。ところでアンタって意外と宴会好きよね~」 「まぁ、それなりには」 さとりはしれっと答えたが、実際にはそれなりどころではない。 さとりは実のところ、宴会が大好きである。先ほど魔理沙に言われたことは図星であった。 さとりは心を読む程度の能力が他人に嫌われるとあって、基本的に表に出たがらないが、 宴会にはよく参加する。 酔っ払い同士なら頭の中が空っぽであり、なおかつ考えるよりも先に口が働く。 皆が心を読まれることを気にするような状態ではないため、さとりのことを疎まない。 そのためにさとりだって楽しめる。酒は潤滑油なのだ。 「ところで【いいところに来た】とはどういう意味です?」 「あのさ、【ゆっくり】って何者か、話には聞いてる?」 「えぇ、一応は。最近幻想郷に突如出現した動く生首のことですよね。そのゆっくりがどうかしました?」 霊夢が背後を振り向きつつ指を示す。すると霊夢の姿を模した生首が蕩けるような顔をして、 「ゆ~♪ ゆ~♪(霊夢~♪)」と声を出しながら、霊夢の背中にすりよっている。 どうやらあれが動く生首ことゆっくりなのだろうと、さとりは推測する。 「こいつが、ゆっくりが何を言いたがっているのか教えて」 「どういうことです?」 「ゆっくりは【ゆっくりしていってね!】に関することしかいえないから、わけがわかんないの。それに私のゆっくりときたら、何でかしらないけど暇さえあったら私に引っ付いてくるのよ」 「へぇ……それはそれは」 「それだけならまだいいけど、よりにもよって宴会の準備で忙しい時にくっついて来てうざったかったの。私がいくら言っても聞かないし……」 霊夢はうんざりとした顔で言う。 さとりは霊夢から事情を聞いた。 ゆっくりは突如博麗神社の庭に現れたこと。霊夢に対して親のように懐くこと。 霊夢が邪険にしてもかまわず向かってくること。 そしてつい先ほども宴会の準備があったのに引っ付いてきてきたこと。 「はぁ、そんなことがあったんですか」 「だから、さとりのその読心でゆっくりが何考えてるのか教えて。何であんなことをしたのか知りたいし、な~んか妙な気分なのよね~。私の勘が騒ぐっていうか」 さとりは一瞬「失敗した」と思った。 面倒ごとから逃げて来たのに、逃げた先で更に面倒なことに巻き込まれてしまった。 またどうにか理由をつけてこの場を後にしようかとも思った。 だが―― 「ゆ~♪ ゆっくりぃ~♪(ん~♪ 霊夢大好き~♪)」 さとりはゆっくりの心の中の、霊夢に対する好意を感じた。 どうやらあの生き物には言葉が通じないがゆえに、その溢れんばかりの好意が上手く伝えられないようだ。 それを霊夢は上手く受け取ることが出来ていないのだろう。何だか微笑ましい。 さとりは何となく、少しくらいだったら想いを伝える手伝いをしてあげてもいいと思った。 「わかりました。やってみます」 言うが早く、さとりはゆっくり霊夢の顔を覗き込む。 それに反応して、ようやくゆっくりはさとりに気付き、上目遣いで見つめる。 「こんばんは」 「ゆっくりしていってね!(小五ロリだ!)」 「………………」 さとりの動きがピタリと止まり、辺りの空気が凍る。 「あれ? さとりどうかしたの?」 「いえ、何でもありません。軽いかるちゃーしょっくとでもいいましょうか……」 さとりは頭を振って気を取り直して再度ゆっくりに近寄り、声をかける。 「私の名前は古明地さとりっていうの。私は貴方の言葉がわかるわ」 「ゆ~! ゆっくり! ゆぅ~!(私と話が通じるんだ! すげ~)」 「ねぇ、貴方はどうして霊夢――自分の主人にそこまでかまってもらいたいの? さっきだって宴会の準備の邪魔をしたって聞いたけど、それは本当なの?」 「ゆっくり! ゆぅぅ~! ゆっくり!(え~と、だったらちょっと説明するね。あのね、話すと長くなるんだけど~)」 「ふむふむ――」 さとりはゆっくりと会話をする。 どうやらゆっくりは人語を話せないが、人語を理解することは出来るようだ。 さとりは読心の能力を持つため、本来はゆっくりは声を出す必要がないのだが、 ゆっくりは思ったことがすぐ口に出る性質があるのか、声を出して喋ってくる。 それをさとりは聞き続けた。 「――なるほど、よくわかったわ」 「ゆっ!(どもね!)」 さとりが得心を得た。くるりと霊夢の方を向く。 「で、何だって?」 「え~とはい、何でもこの子は、霊夢さんのお手伝いをしたかったそうです」 「お手伝い?」 「そうです。お手伝いです。普段お世話になっている霊夢さんのお手伝いをしたかったのだけど、何をすればいいのかわからなかったそうです」 擦り寄ったり甘えることによって邪魔ばかりしていたと思っていたゆっくり。 そのゆっくりの真意が手伝いをしようとしていたなどとは、意外な答えに霊夢が驚く。 「霊夢さん、一ついいですか?」 「何よ」 「霊夢さんはその子に好かれているのはわかりますか?」 「う~ん、ゆっくりときたら暇さえあれば甘えてくるからそんな気はしてたけど……けど、私はこいつに対して特に可愛がってやったりとかしてないわよ。なんでこんなに好かれるのかさっぱり」 「そうですね、例えるなら霊夢さんのことを好いている方達、紫さんや魔理沙さんなどに対して、霊夢さんは特別可愛がったりしていますか?」 「いいえ。まったく。それどころかよく弾幕ごっこでドツく」 「それだけですか?」 「まぁ……その後よく一緒にお酒を飲むけどね」 「それと同じですよ。霊夢さんのさっぱりとした人柄にみんなが集まるんです。この子は『霊夢大好き! 霊夢と一緒にいたい!』という気持ちが溢れかえっています。裏表のない霊夢さんが大好きだそうです」 「でも、今日は邪魔してきたと思ってぞんざいにあつかったし、嫌われてもおかしくないんじゃないの?」 霊夢が反論するかのように答える。 「ゆっくり~ゆっくり~(そうでもないよ。霊夢がそういう人だって知ってるし、そういったところ含めて好き。さっきだって、忙しくなくなったら私が甘えててもどかしたりしなかったし)」 「霊夢さんがそういった人だということはわかっているそうです。だから大丈夫だと。そういったところを含めて好きだそうです。それに忙しくなくなったら、ゆっくりが甘えてきたときにされるがままにしてたそうじゃないですか」 「え~と、それはあれよ。酒の席でつまらないことでイライラするのも嫌じゃない。だからちょっとくらいならいいかなと思っただけよ。ホントに邪魔だったらどかすわ」 霊夢がばつの悪そうな顔をしてそっぽを向く。 「ゆっゆっゆっくり(それと、宴会の準備邪魔してごめんね。忙しかったのに)」 「宴会の準備の邪魔をしてしまったことについてはこの子も申し訳なく思っています。忙しいところにかえって邪魔をしてしまったと、反省をしているようです」 「そうなの?」 「ゆ~ゆ~(そだよ。ごめんね)」 霊夢がゆっくりの方をちらりと見る。その目には若干の戸惑いがあった。 霊夢は基本的に人妖に好かれるさっぱりとした気質を持つが、 あまりこういった類の、子が親に向けるような愛情を受けたことはない。 どういった反応をすればいいのか戸惑うその様子は博麗の巫女というよりも、 一人の少女のそれであった。 「霊夢さん」 「な……なによ」 「霊夢さん、そんなに肩肘を張らなくても大丈夫ですよ。この子は自然体の霊夢さんが好きなようですから。それに私個人としては子供や小動物に優しい霊夢さんっていうのは気持ちが悪いです。霊夢さんって子供の飴玉とか奪いそうですし」 「おい」 「確かに熱心に好かれると、時にはうざったくなってしまったり、どうしても手が離せなくなってかまえなくときがあるのはしょうがないでしょう」 「無視すんな」 「ですが――」 さとりの突如真剣味を増した声に霊夢が気圧される。 普段のさとりは基本的に根暗だ。 けれどペットや、言葉の喋れない存在に関わるとこのような真摯な性格になる。 だてに地霊殿の主はやっていない。 「ですが自分を好いてくれる相手には、どうか無下に扱うようなことはしないであげてください。嫌われるのは簡単ですが、好かれるようになるのは難しいです」 さとりがふっと、自嘲するようなため息を吐きながら言った。 「まぁ、私は霊夢さんなら大丈夫だと思いますけどね。その姿を見ていると」 さとりは縁側に座る霊夢と、その隣に並びながら霊夢に寄りかかるゆっくりを見る。 ゆっくりの顔はとても幸せそうだった。 愛する母に抱きつく子供のような安心感を醸し出す至福の表情だ。 こんな顔をすることが出来るような者は滅多にいない。 なんだかんだいって普段霊夢がゆっくりにたいして世話を焼いていることが伺える。 「え~と、これはその、あれよ。あんまり駄々をこねてて五月蝿かったから、こうすれば黙るからこうしただけよ」 「はいはい。わかりました」 さとりはにこやかに笑いながら霊夢に言った。 霊夢はさとりのそんな姿を見て、自らの頭をわしゃわしゃと掻き毟る。 「あ~もう、この話はもうおしまい!」 そう言うと霊夢は自らのゆっくりを膝の上に乗せた。 上に乗ったゆっくりは即座に目を輝かせ、口元がわぁっと開き、幸せ一杯の顔をする。 「ゆっくりしていってね♪(霊夢大好き♪)」 「……まったくしょうがないわね。こういうことはたまにしかやってあげないから、あんまり忙しいときに引っ付いてくるんじゃないわよ」 「ふふふ……」 「それとさとり、アンタもさっさと酒飲みなさい! 宴会で素面が真面目なこというんじゃないわよ!」 「はいはい。わかりました」 悪態をつきながらゆっくり霊夢を膝の上に乗せる霊夢。彼女の心の中は妙なこそばゆさで一杯だった。 さとりはその微笑ましさに思わず頬が緩んでしまった。 ◇ 「ところで貴方、最後にひとつ聞いてもいい?」 さとりがこれで時分の役目は終わったと思いその場を離れる前、 ゆっくりに対して感じた素朴な疑問があった。最後にそれを聞いていこうと彼女は考えた。 「ゆ?(どしたん?)」 「貴方達って何で幻想郷の女の子の姿をしているの?」 「ゆっくり――(それはね――)」 ◇ ザッザッザッと、さとりは霊夢とそのゆっくりから足早に離れた。 ゆっくり達が幻想郷の少女達の姿をしている理由。 それ自体はある意味「わかりやすく」「微笑ましい」理由だったが、 決してモデルとなった少女達には口外できないものであった。 霊夢に対しては上手くぼやかしてきたが、このままだとボロを出しかねない。 今日は日が悪い。さとりは一刻も早く帰ろうとする。 けれど―― 「すげ~!! ねぇねぇ、あたいのゆっくりがどんなこと考えてるか教えてよ~」 「私のゆっくりは! 私のゆっくりは!」 「な、何ですか貴方達!?」 気が付けばさとりの周りには観衆が集まっている。 一度は撒いたのに、愚かなことにも再度捕まってしまった。 先ほどのさとりによる一連の光景は中々変わった見世物だったため、皆の興味を引いた。 そのために少女たちは離れたところから見学していたのだ。 そしてさとりの手腕に感心した少女たちは、今度は自分の番だと引っ付いてきたというわけである。 「どうせだからさとりにみんなのゆっくりが何考えてるか教えてもらおうよ~!」 「いいね~!」 「もう決定だね~!」 「そ~なのか~そ~だよね~そうするっきゃないね~」 「私のゆっくりだから、きっとさぞかしカリスマ溢れた台詞を言ってるのでしょうね」 「えと……あの……ちょっと待って……」 皆が勝手に話を進めている。徒党を組んだ酔っ払いは手が付けられない。 彼女達は期待の篭った視線をさとりに向けた。さとりは思わず気圧される。 場の雰囲気に完全に飲まれていた。 「ち……ちょっと席を外しま――」 どうするべきか、逃げるべきかとさとりが迷い、 取り敢えず先ほどと同じように逃げようとその場から背を向けた瞬間、 何者かに肩の辺りをガシッと捕まれた。 「今度は空気嫁よ」 「ひぃっ!」 気配もなく近寄ってきた衣玖が能面のような笑顔でさとりに呟いた。 ギリギリと、衣玖の指がさとりの肉付きの薄い肩に食い込み、 さとりの顔が青ざめる。 「頑張ってさとりちゃ~ん!」 「いけいけ~!」 「さとり~! 愛してるよ~! ちゅっちゅさせて~!」 前門の衣玖、後門の酔っ払い。 いや、周りを囲まれた今となっては四面楚歌。 さとりに選択権はなかった。断れば何をされるかわからない。 「わかりました! わかりましたよ! 行って来ます!」 こうなったらどうしようもない。上手く誤魔化すしかない。 さとりは普段あまり出さない大声を上げると、ゆっくり達が集まる場所に向かった。 とてとてと歩いてゆっくり達の集まりに近寄る。 するとゆっくり達は皆何者かに対して首を傾げる。 「みんな、こんばんは」 さとりはゆっくり達に向かって声をかける。 けれどもその音量は小さく、雰囲気も暗い。 外の世界の歌のお姉さんとはかけ離れている。 「ゆっくりしていってね!(小五ロリだ!)」「ゆっくりしていってね!(ロリだ!)」 「ゆっくりしていってね!(小五だ!)」「ゆっくりしていってね!(ちっちぇ~!)」 「ゆっくりしていってね!(スモック着せたくなるね!)」「ゆっくりしていってね!(ハァハァ!)」 「ゆっくりしていってね!(ほっぺ柔らかそう!)」「ゆっくりしていってね!(エロ同人朗読させたい!)」 ゆっくり達は対称的に元気よく、 歌のお姉さんに向かう子供達のような天真爛漫な姿でさとりに挨拶を返す。 どうやらさとりは歓迎されているようだ。 ゆっくり達はさとりに対し、どうかここでゆっくりしていって欲しいと言っているのかもしれない。 はやし立てた少女達はそう考えながらワクワクしながらその光景を見守った。 ============================================ 「ゆゆっくり! ゆっくりしていってね! ゆっくり~! ゆゆっ!(私達の正体は元【毛玉】なんだよ。ほら、紅魔異変のとき道中で弾を撃ってくるアレね。弾幕で打ち落とされた毛玉たちが、自らを打ち抜いた少女に惚れて、自分もその子に近づきたいって願って願って、その子になりたいと思った他の毛玉と毛玉トーナメントして勝ち残ったら毛玉の神様が願いを叶えてくれたんだ) 「ゆっくりしていってね~(私は霊夢にぶち抜かれたときにそのかっこよさに惚れて、一生この人についていこうって決めたんだ! 競争率がめっちゃ激しかったけど、こうなったらもう最高だよ! 霊夢ってあれでなかなか面倒見がいいから、一緒にご飯を食べることも出来るしお風呂にも入れる。お布団にもぐりこんで抱き枕にしてもらえることだって出来るんだよ!) 「ゆゆゆっくり~! ゆっくりしていってね!(霊夢って本当に可愛いよね~。何気にスタイルいいし、睫毛長くて鼻筋が通っててまさに女の子っていう顔してるし、髪の毛はさらさらでイイ匂いだし、体はしなやかで触り心地最高だし、そして何よりもあの性格がたまんない。あの子結構子供っぽいところがあって愛嬌があるんだよ。無防備な寝顔とかみてるとつい襲っちゃいたくなるんだよね~。パァンされるからやらないけど。そうだ知ってる? 霊夢って自分では見えないところにほくろが三つあってね~――)」 ============================================ 「え~とね、今日はみんなに聞きたいことがあって来たの。突然だけど、皆は主人のこと好き?」 「ゆっくり~(いやマジ大好きだね、魔理沙。もう結婚してくれって感じ)」 「ゆゆ~(天然系の巨乳箱入りお嬢様最高!)」 「むきゅ~(病弱少女っていいよね。看病の名目でいつか色々したいよぅ)」 「ゲラゲラゲラ(元新参ホイホイだと……私は一向に構わん! ウサ耳ブレザー万歳!)」 即答である。 ゆっくり達は目をキラキラと輝かせ、我先にと大声で主張する。 「えっと……どんなところが好きなの?」 「ゆっくり!(魔理沙って実は意外と寂しがりなんだよね~。えっへっへ~)」 「ゆゆ~(私のモデルって実は生娘なんだよねぇ……。考えてもみれば箱入りのお嬢様なのにすぐ死んじゃったから。そのくせ自分のとこの庭師には経験豊富な大人の女を演じているのに、演じ切れていないのが微笑ましいっていうか、性経験が無い庭師だからバレずにすんでいるのが可愛らしいというか)」 「ウサウサ(私の主人も中々純情なところがあってさ~。いや~、マジでムラムラくるわ~)」 「わかるよ~(無垢な猫耳ロリたまんねぇ……色々いけない遊び教えたくなるよ……)」 「よいぞっ!(性的な意味で)」 「じゃお~ん(中華まん! 中華まん! おっきい中華まん二つ!)」 「あたいったらゆっくりね!(幼女のもち肌最高! ぱねぇ!)」 「あ~う~(※R-18映像のため、さとり第3の目によるフィルターがかかりました)」 「ちんちん(○んちん)」 さとりは一気呵成にまくし立てて来るゆっくり達に対していくつか相槌を打ち、 それぞれの話を聞きいれた。 「え~そうなんだ――うんうん――へぇ――わかったわ。それじゃあ、私はこれで失礼するわね」 するとさっと少女達の方に戻ってきた。 「皆さんすごく好かれていますよ」 さとりは一拍間を置いて、にこやかに笑いながら言った。 「あれでわかるとはすごいな……」 「どんな感じ?」 「私のゆっくりは何だって?」 「百聞は一見にしかずです。ちょっと待って下さい」 さとりはゆっくり達の方を向くと、少女達に存分に甘えるように呼びかけた。 ゆっくり達は散らばって、それぞれのモデルとなった者のところに近寄っていく。 ぴょこぴょこ、ぽよんぽよん、ぱたぱた。 皆の表情は太陽のように輝いている。 「これが答えです。この子達が何者であってもいいじゃないですか。可愛がってあげてください」 さとりはいい笑顔だ。 「私のゆっくり、いつも庭師の仕事を手伝ってくれてありがとう」 「みょ~ん!(ちーんぽ!)」 「ちょっと、う~う~言うのやめなさいっていってるでしょ!」 「う~♪ う~♪(ロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリロリさいこぉぉぉ!!! WU~!WU~! WRYYYYYYYYYYYYAAAAAAAAAAAAA!!!」 「えへへ、くすぐったいよぅ」 「ゆっくりしね♪(フランちゃんウフフ)」 抱き合う妖夢とゆっくり、レミリアとほっぺプニプニの柔らかさ比べをするゆっくり、フランにちゅっちゅするゆっくり。 それらを初めとして、少女達が自らに擦り寄るマスコットのような物体と仲良く触れ合っていた。 「それでは私はこれで。今日は少し早めに帰らせてもらいます」 さとりはそんな美しき光景に背を向けて、神社の外に向かってスタスタと歩いて行った。 「え~、さとりってばまだ全然酔っ払ってないじゃん。ゆっくりしていけよ~」 「それは……いえ、何でもありません。少し身体の調子が悪いので」 「きっと酔っ払いの頭の中を見て酔っ払ったんだ~」 「キャーこのスケベ~!」 「え……えぇと、はいそういうことです」 さとりはばつが悪そうにしながらも帰ろうとする意思は変えないようだ。 ふとさとりが霊夢と膝枕されるゆっくりをちらりと見た。 ◇ さとりは無言のまま博麗神社を後にする。 今日は家に帰ったら早くお風呂に入ってお燐とお空を撫でて寝よう。なでなでふにふにしよう。 そんなことを考えながら早く帰ろうとすると、目の前には三つの影が現れた。 「うにゅ~(フュージョンしたい! フュージョンしたい!)」 「おりんりんらんどはっじまっるよ~(お○ん○んらんどはっじまっるよ~)」 「こいこがれるようなゆっくりがしたい!(余計な詮索はするな)」 ゆっくりだ。それも三匹。 お空、お燐、こいしの姿をしたゆっくり達だ。 ぽよんぽよんと飛び跳ね、さとりの方に向かってくる。 さとりはさっと身を翻して別の方向に向かって走る。 走って走って、その場から離れようと―― ぽむっ。 何かがさとりの胸の辺りにぶつかって来た。 柔らかい。 さとりは思わずそれを受け止め、抱きかかえてしまう。 ………… ………… ………… さとりが恐るおそる視線を下に向けると、 薄紫色のショートヘア。 ジト目。 ハート型のカシューチャ。 そう―― さとりの姿をしたゆっくりが! 「さっとりしていってね!(さとり!さとり!さとり!さとりぅぅうううわぁああああああああああああああああああああああん!!! あぁああああ…ああ…あっあっー!あぁああああああ!!!さとりさとりさとりぅううぁわぁああああ!!! あぁクンカクンカ!クンカクンカ!スーハースーハー!スーハースーハー!いい匂いだなぁ…くんくん んはぁっ!古明地さとりたんの紫色ショートの髪をクンカクンカしたいお!クンカクンカ!あぁあ!! 間違えた!モフモフしたいお!モフモフ!モフモフ!髪髪モフモフ!カリカリモフモフ…きゅんきゅんきゅい!! ZUN絵のさとりたんかわいかったよぅ!!あぁぁああ…あああ…あっあぁああああ!!ふぁぁあああんんっ!! 緋想天則に出演させたいよさとりたん!あぁあああああ!かわいい!さとりたん!かわいい!あっああぁああ! えっちな同人誌もたくさん発売されて嬉し…いやぁああああああ!!!にゃああああああああん!!ぎゃああああああああ!! ぐあああああああああああ!!!ゲームなんて現実じゃない!!!!あ…同人誌も動画もよく考えたら… さとり ち ゃ ん は 現実 じ ゃ な い?にゃあああああああああああああん!!うぁああああああああああ!! そんなぁああああああ!!いやぁぁぁあああああああああ!!はぁああああああん!!ちれいでぇええええええん!! この!ちきしょー!やめてやる!!現実なんかやめ…て…え!?見…てる?表紙絵のさとりちゃんが私を見てる? 表紙絵のさとりちゃんが私を見てるぞ!さとりちゃんが私を見てるぞ!挿絵のさとりちゃんが私を見てるぞ!! 動画のさとりちゃんが私に話しかけてるぞ!!!よかった…世の中まだまだ捨てたモンじゃないんだねっ! いやっほぉおおおおおおお!!!私にはさとりちゃんがいる!!やったよダディ!!ひとりでできるもん!!! あ、同人誌のさとりちゃああああああああああああああん!!いやぁあああああああああああああああ!!!! あっあんああっああん神主さまぁ!!う、うにゅほお!!おりぃいいいいいいん!!!こいしぃいいいいい!! ううっうぅうう!!私の想いよさとりへ届け!!目の前のさとりへ届け!)」 ◇ 「イヤアアアアアアアアアあああああああああああああああああああ!!!!!」 ◇ 「さとりったらいきなり帰ろうとしたり、突然叫んだり、一体どうかしたのかしら?」 「ゆっくりしていってね!(んほおおおおおおおおおお! 霊夢のおっぱいあたってるぅぅぅ!! マジいい匂いサイコォォォォォォ!!!)」 霊夢はヘヴン状態のゆっくりを抱きかかえながら首をかしげた。 いい話だった。そしてオチに吹いたww -- 名無しさん (2009-08-26 19 01 04) 一切の自重のないそのオチとその覚悟、僕は敬意を評する!! 取り合えずゆっくりゆゆこ(もしくはゆーびぃ?)とは良い酒が飲めそうだ。 -- 名無しさん (2009-08-26 19 29 22) 正直なんて物じゃねえ。本能の赴くままかw 解らないままの方がいいこともあるんですね、わかるよー ゆっくりと同じこと考えてたから、これから天子に押し潰されに逝ってきます -- 名無しさん (2009-08-26 19 51 05) ゆっくりの正体の個人的予想 ・パチュリーの魔法実験で生まれた ・永遠亭の実験で誕生した ・妖精? ・どこからともなく現れた饅頭 毛玉が元になったとかは全く思いつきませんでした -- 名無しさん (2009-08-26 20 14 02) やはり三天王の一角は伊達じゃないな……!(褒) -- 名無しさん (2009-08-26 21 12 19) A-パートでほのぼのし、このパートで吹いたww -- 名無しさん (2009-08-27 20 04 30) ここで落とすとはwww -- 名無しさん (2009-09-11 20 48 33) あれ…作品は違えど 私 は こいつらとゆっくりできる んだ… -- 名無しさん (2010-02-26 05 34 04) ゆっくりスケベww -- 名無しさん (2011-09-21 08 56 33) WRYYYYYYYYYYYYAAAAAで吹いたwww -- 名無しさん (2013-01-19 17 01 01) 名前 コメント